盲腸と回腸終末部との関係からみた虫垂の走行形態の5つのタイプ

虫垂 位置外科
スポンサーリンク

はじめに

虫垂の正常な位置を知っておくことは、虫垂炎の腹痛を評価したり、手術で虫垂の位置を同定する際の要となる基礎知識のひとつです。

今回は、虫垂の位置についての最も大規模な研究をご紹介します。

虫垂の走行の5つの型

The Position of the Vermiform Appendix as Ascertained by an Analysis of 10,000 Cases

10000体を対象にしたこの研究によると、虫垂の位置は主に以下の5つに分類されます。

虫垂 位置

 

 Periileal (傍回腸型)

1%と珍しい。虫垂の先端が、頭側かつ回腸終末部の腹側に向かうもの。
しばしば下回盲ヒダへとつながる長い虫垂間膜を持つ。

 Post-ileal(後回腸型)

0.40%とかなり珍しい。下回盲ヒダは脂肪の小さいカケラとして存在することがある。

 Pelvic(骨盤型、下行型)

31%と2番目に頻度が高い。虫垂先端は、大腰筋の前面を下方へ向かい、全長が骨盤のへりにぶら下がるような形になる。
回腸終末部が下方へと折れ曲がるようになることで、Genito-Mesenteric Fold(生殖間膜ヒダ)がよく存在する。

Sub-cecal(下盲腸型)

2%の頻度。盲腸の下方の盲腸窩に虫垂が位置する。虫垂は虫垂間膜ごと左から右へ、時計回転で捻れるようになり、しばしば先端は頭側を向く。虫垂根部を被覆するような回腸盲腸ヒダが存在する。

 Retro-cecal(後盲腸型)

65%と最も頻度が多い。過去の解剖学の文献の統計よりかなり多い頻度。
この中にもいくつかのサブタイプ(亜型)がある。
頻度が多い順に、
A:盲腸背側や結腸背側を自由に動くタイプ
B:虫垂間膜が短く、虫垂が盲腸背面に接するように保持するタイプ
C:盲腸背側や結腸背側に虫垂が固着しているタイプ
D:炎症などの影響で、虫垂が腹膜外に存在し後腹膜化されたタイプ
E:盲腸の背側面に根部があり、ほぼ全長に渡って腹腔後壁側に付着するタイプ

他の報告での頻度

多少の差はありますが、大体似たような頻度のことが多いです。

Vermiform appendix: positions and length – a study of 377 cases and literature review

虫垂の位置の頻度に対する発生学的背景

虫垂の位置は盲腸の発生と密接に関連しています。
胎生10週目以降、胎児の結腸は腹腔内に戻り、270度反時計回りに回転しながら後腹膜に固定されます。すなわち、盲腸は右腸骨窩に徐々に下降していきます。
同時に、盲腸の前外側壁が他の部分よりも速く伸び、成長するため、盲腸の頂点にある元の位置から腹側かつ内側の位置に虫垂が移動します。
この盲腸下降の過程で、虫垂は盲腸の後ろまで回り込んでいく可能性があります。
盲腸が後腹膜に固定される前に虫垂が盲腸背側まで回り込むと、虫垂の位置は盲腸後型などになります。
一方で、虫垂が遊離したまま結腸が後腹膜に固定されると、虫垂は遊離腹腔側に位置するような型となります。

虫垂の発生

 

まとめ

虫垂の走行形態の頻度を知ることは、虫垂炎の初期診療や手術において必要な基礎知識。

虫垂の走行形態は5つに大別される。

Retro-cecal(後盲腸型)が最多で、Pelvic(骨盤型、下行型)が2番目に高頻度。

急性虫垂炎 走行 CT

外科
スポンサーリンク
シェアしてみんなにも教えてあげましょう!
Yasuのフォロー・応援をお待ちしています!
目指せ、トップナイフ!〜消化器外科医のブログ〜

コメントで一緒に記事を盛り上げましょう!

タイトルとURLをコピーしました