虫垂切除での最適な虫垂根部の処理方法【ガイドライン】

ラパロ アッペ外科

虫垂は何で切離するのが最適でしょうか?

また、開腹ばかりの時代にはスタンダードであった、残った虫垂断端を反転して埋め込むのは有意義なのでしょうか?

今回はこの辺りの疑問について、エルサレムガイドラインを参考に見ていきたいと思います。

Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines

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コストパフォーマンス

断端の閉鎖は色々なやり方なあり、関連するコスト差が生まれます。

代表的な方法として、

  • 自動縫合器(ステープラー)
  • エンドループ
  • ポリマー性のクリップ
  • 体内結紮

などがあります。

以前の研究では当初、自動縫合器(リニアステープラー)によって合併症と手術時間が減ると報告されていましたが
しかし、最近の研究では、ステープラーとエンドループでは、術中や術後の合併症に違いがないことが示されています[166]。

最近の証拠によると、Hem-O-Lok(HOL)クリップの使用は安全で、エンドループの使用と比較して簡便な手技となることが報告されています。
Al-Termini らによる研究では、HOLクリップの使用は、エンドループと比較して全体的な合併症の発生率が低くなりました。
1回の虫垂切除で、エンドループの最小費用は273.13ドルでしたが、HOLクリップの費用は32.14ドルまで削減されました[167]。

ステープラーにメリットはあるのか

Van Rossem らによる多施設前向き観察研究では、以下のように報告されました。
エンドループとステープラーを比較すると、感染性合併症の発生率は、差がないことが実証されています。
手術時間の中央値もエンドループとステープラーの使用の間で差はありませんでした(42.0対44.0 分)。
感染性合併症または腹腔内膿瘍の率にも有意差はありませんでした。
多変量解析では、複雑性急性虫垂炎であることが腹腔内膿瘍の唯一の独立した危険因子でした[168]。

同様に、Ceresoliらによる大規模な系統的レビューとメタ分析でも、複雑性急性虫垂炎で、断端閉鎖の方法は術後経過に影響を与えなかったことが示されました。
14の研究、合計5934人の患者が分析されました。
全体として、ステープラーの使用は、腹腔内膿瘍率に影響せず、入院期間や再入院率や再手術率は同等でした[169]。

複雑性急性虫垂炎の機械的虫垂断端閉鎖(ステープラー、クリップ、超音波凝固切開装置)と結紮(エンドループ、ローダーループ、体内結紮)を比較した最新のコクランレビューには、850人の参加者を含む8つのRCTが含まれていました。
5つの研究はチタンクリップと結紮糸を比較し、2つの研究はステープラーと結紮糸を比較し、1つの研究はステープラー、チタンクリップ、結紮糸を比較しました。
全ての合併症、術中合併症、術後合併症について、結紮糸とすべてのタイプの機械的閉鎖との間に差はありませんでした。
副次的な解析ですが、機械的デバイスを使用すると、結紮糸を使用した場合と比較して、手術時間が約9分短縮されました。

クリップで問題ない

現在のエビデンスは、ポリマークリップが断端を閉鎖するための効果的でコストパフォーマンスの高い方法であることを示唆しています。
Knightらによる700人以上の患者を含むメタ分析では、ポリマークリップが最も安価な方法であり(患者1人あたり平均20.47ユーロ)、他の一般的に使用されている閉鎖方法と比較して合併症の発生率が最も低くなりました(2.7%)。
一方、手術時間と入院期間に差はありませんでした[172]。

断端の反転埋没にメリットなし(むしろ良くない)

多くの研究が単純な結紮と、断端の反転埋没を比較しており、有意差は見らていません。
11のランダム化比較試験とメタ分析(患者数2634)を対象にしたQianらによる系統的レビューでは、以下のように報告されました。
術後の発熱や感染は、単純結紮群と断端反転群の間でそれぞれ類似していたが、単純結紮群は手術時間が短く、術後イレウスの発生率が低く、術後の回復が早くなりました。
この結果から、単純結紮が断端反転よりも有意に優れているとされました[173]。

まとめ

単純性または複雑性虫垂炎の、成人と小児の両方で、断端閉鎖のためにエンドループに比べて、ステープラーを使用しても臨床的なメリットはありませんでした。
合併症のない虫垂炎の小児では、ステープラーを使用すると、創部感染の発生率が低くなります。
ポリマー性クリップは、合併症のない虫垂炎で、断端を閉鎖するための(手術時間が短い)最も安価で簡単な方法です。

→単純性または複雑性虫垂炎で、成人と小児の両方で、断端閉鎖には、エンドループ、縫合結紮、ポリマークリップの使用が推奨されます。
ただし、複雑なケースを扱う場合、外科医の術中判断に応じてステープラーを使用できます。
[QoE:中程度;推奨の強さ:強い; 1B]。

主要な合併症や感染症の発生率は類似しているため、開腹でも腹腔鏡手術のいずれにおいても、断端反転よりも単純結紮の方が好ましいです。
単純結紮は、手術時間の短縮、術後イレウスの減少、術後の早期回復に繋がります。
→開腹および腹腔鏡のいずれにおいても、虫垂断端の反転より単純な結紮を推奨します[QoE:High;推奨の強さ:強い; 1A]。

参考文献

166.

Swank HA, van Rossem CC, van Geloven AAW, et al. Endostapler or endoloops for securing the appendiceal stump in laparoscopic appendectomy: a retrospective cohort study. Surg Endosc. 2014;28:576–83.

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On behalf of the snapshot appendicitis collaborative study group, van Rossem CC, van Geloven AAW, et al. Endoloops or endostapler use in laparoscopic appendectomy for acute uncomplicated and complicated appendicitis: no difference in infectious complications. Surg Endosc. 2017;31:178–84.

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Knight SR, Ibrahim A, Makaram N, et al. The use of polymeric clips in securing the appendiceal stump during laparoscopic appendicectomy: a systematic review. Eur J Trauma Emerg Surg. 2019;45:665–70.

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Qian D, He Z, Hua J, et al. Stump invagination versus simple ligation in open appendicectomy: a systematic review and meta-analysis. Int Surg. 2015;100:1199–206.

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