急性虫垂炎に大腸癌が関連する場合の留意事項

ラパロ アッペ外科

やたらと腫大した虫垂の急性虫垂炎で、悪性腫瘍の可能性を考えていなくて、指導医に指摘されて焦った経験はないでしょうか?

実は、急性虫垂炎と大腸癌は、どちらも頻度が高い疾患であるため、両者が同時に存在することは珍しいことではありません。

このようなケースについて知っておくべき事柄を学んでおきましょう。

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急性虫垂炎と盲腸癌が合併する頻度

その頻度はColinsらの報告によれば、虫垂炎症例50000中の632例(1.3%)に大腸癌を認めたとしています。

急性虫垂炎と盲腸癌が合併するときの2つのタイプ

虫垂炎症状を伴う盲腸癌の特徴として、炎症を伴うものと炎症を伴わないものの2種類があると言われています。

虫垂に炎症がないタイプ

炎症を伴わないものは、癌自体の炎症や通過障害などによる症状によって急性虫垂炎と誤診されてしまいます。

虫垂炎の術前診断が術後に訂正されたのは、10.5%、そのうち結腸癌であった確率は、誤診全体の2.8%であったと報告されています。

虫垂に炎症があるタイプ

一方、虫垂に炎症が合併する場合は、癌と虫垂炎が単に同時に存在する場合と、癌が虫垂炎の直接の原因になっている場合の2つのケースがあり得ます。

盲腸癌が虫垂炎を引き起こす機序としては、

盲腸癌の虫垂根部への直接浸潤や浮腫による虫垂内腔の閉塞

盲腸癌による盲腸閉塞に起因する虫垂内圧の上昇

癌による壁進展が浸潤による虫垂血流障害

などが考えられています。

癌により虫垂根部が閉塞した症例は24例のうち13例(54%)と約半数に認められたと報告されています。

癌を合併した場合の急性虫垂炎の程度

虫垂炎の重症度は、

  • カタル性 2例
  • 化膿性 14例
  • 壊死性 8例

と、化膿性以上の、炎症が高度なものが多かったようです。

また盲腸癌は、多くが筋層より深く浸潤した進行癌でした。

術前診断

盲腸癌と虫垂炎の合併を術前診断することは困難な場合が多く、術前診断できたのは、盲腸腫瘍や盲腸癌疑いという診断を含めても33%にとどまりました。

術前の超音波で盲腸や壁の肥厚・腫瘍内部の低エコー域を捉えるなど、超音波検査の有用性が報告されています。

まとめ

癌が増えてくる中年〜高齢者では、盲腸周囲膿瘍、腹膜炎、壊死性虫垂炎等の炎症が強い症例では、大腸癌が急性虫垂炎の原因となっていないか検討します。

また、若年者でも悪性腫瘍が関連することもあるので、急性虫垂炎の約1〜2%には癌が関与することを忘れずに、超音波検査やCTを用いて、盲腸の変形や腫瘤の有無を詳細に観察することが大切です。

癌の可能性が疑われた場合には、術中に盲腸周囲の十分な検索をすることが大切です。

必要に応じて、術中迅速病理診断を確認することも重要と思われます。

参考文献

虫垂炎症状を呈した盲腸癌の3例

虫垂炎症状で発見された盲腸癌の検討

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