クランプクラッシュ(clamp crush)法の応用

外科
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クランプクラッシュ(clamp crush)法とは

clamp crush 法は,元々は肝臓の手術で開発された手技です。

clamp crush 法の原法とは、ペアン鉗子で肝実質を圧挫(Clamp and Crush)し、残ったグリソン枝や肝静脈枝を結紮切離する方法です。forceps fracture methodやcrushing clamp methodなどとも呼ばれます。

また近年では、エネルギーデバイスを用いた腹腔鏡手術の発展により、エネルギーデバイスを用いたclamp crush法が用いられるようになってきました。具体的には、超音波凝固切開装置(HARMONICなど)や、脈管シーリングデバイス(LigaSureやENSEALRやBiClampなど)が用いられています。

これによって、肝実質の破砕と、脈管のシーリングを同時に行うことが可能となり、効率的な肝離断が可能となっています。

救急疾患の手術に応用

急性虫垂炎、急性胆嚢炎、腸管穿孔による汎発性腹膜炎など、外科医は多数の救急疾患を相手に手術しなければなりません。

高度な炎症の元では、組織は脆く、裂けやすく、出血しやすくなっています。このような状態で、普段の手術のように精細な剥離を行うことは困難です。

そこでclamp crush法を応用します。

例えば、急性胆嚢炎でのCalot三角の処理や、ハルトマン手術の際の腸間膜の処理の時などに、超音波凝固切開装置などで愛護的に間膜を圧挫してみます。すると、間膜の脂肪は破砕・融解されて、処理すべき脈管が残ってきます。

これは、以前からあるfinger fractureと呼ばれる、指を用いて破砕・剥離を行うという手術手技の模倣でもあります。

器械を持ち替えずに、超音波凝固切開装置を持ったまま手術操作を進められるため、効率よく手術を進行させることができるようになります。

Surgical Trunkの郭清に応用

Surgical Trunkとは、回結腸動静脈から胃結腸静脈幹に至るまでのSMVのことで、右半結腸切除術でのリンパ節郭清において非常に重要な存在です。

Surigical Trunk周辺は、動脈も静脈も、走行形態のバリエーションが多く、細い分枝などを誤って損傷する危険があります。また、ひとたび出血すると、容易に大出血につながりやすい部位であるため、Surigical Trunkの手術操作は大変な緊張を伴います。

このような特徴があるため、Surigical Trunkの郭清では、剥離鉗子を大きく開きすぎると血管の枝を裂いてしまう危険が大きいです。

そこでclamp crush 法を応用します。

超音波凝固切開装置のテッシュパッドを、刃先1mm分だけ剥離層の隙間に滑り込ませます。

そして剥離層を愛護的に圧挫してみます。

すると、癒合した線維のみであれば圧挫によって破砕されます。これによって細い脈管や、それを取り巻く血管鞘のみが残ってくるので、血管の根部が容易に同定できるようになります。あとは、明らかになった血管を丁寧に剥離して、クリップなり結紮なりすれば良いというわけです。

clamp crush 法によって、剥離層を少しずつ剥離しては切開するという、剥離の一手間が短縮できることと、剥離鉗子の開きすぎによる血管の股裂きのリスクを低減できるというメリットがあると考えています。

ただし、もちろんのことながら、剥離層自体が間違っていたり(SMVが露出仕切れていなかったり)、ショートピッチではなく、乱雑に大きくclampし過ぎたりするとメリットが活かしきれないので注意してください。

まとめ

clamp crush 法によって、切るべき組織と残すべき組織が分離しやすくなると思います。

これによって手術操作に難渋する場面を少しでも効率よく乗り切ることが可能になると考えます。

ぜひ一度試してみてください。

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