切除可能な同期性大腸癌肝転移を切除するのは一期的か二期的か?

外科

 

結腸直腸癌において、切除可能な同時性肝転移を有する場合、一期的に原発巣と転移巣を切除するべきか、二期的にそれぞれを切除するべきかは悩ましい課題である。

この疑問に対しての臨床試験の結果が発表されていた。

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参考文献

切除可能な同期性大腸癌肝転移に対する同時切除と遅延切除の比較(プロスペクティブ、オープンラベル、無作為化、対照試験)

Simultaneous Versus Delayed Resection for Initially Resectable Synchronous Colorectal Cancer Liver Metastases

抄録

目的

同時性大腸癌肝転移(synchronous colorectal cancer liver metastases)を、原発巣と同時に切除すべきか、原発巣の切除から遅らせて切除すべきかの回答を得ること。

背景データの要約

数多くの研究が両戦略を比較している。すべての研究はレトロスペクティブであり、結論は矛盾していた。

方法

大腸癌で切除可能な同時性大腸癌肝転移を有する成人を対象に、転移巣の同時切除または遅延切除のいずれかにランダムに割り付けた。

主要評価項目は手術後60日以内の重篤な合併症の発生率であった。

副次的評価項目として、全生存期間および無病生存期間が含まれた。

結果

合計105人の患者がリクルートされ、85人の患者(同時切除群39人、遅発切除群46人)が解析された。

主要な周術期合併症の割合は群間で差がなかった(同時切除群49%、遅延切除群46%。調整後OR 0.84、95%CI 0.35-2.01、P = 0.70、ロジスティック回帰分析)。

合併症の発生率は、同時切除群と遅延切除群で、それぞれ大腸部位で28%と13%(P = 0.08、χ2検定)、肝臓部位で15%と17%(P = 0.80、χ2検定)であった。

遅延切除群では8例で肝切除に至らなかった。そのうち、6例は病勢進行によるものであった。

2年後の全生存期間および無病生存期間は、同時切除群の方が遅延切除群に比べて改善する傾向がみられた(P = 0.05)。

 

患者割り付けのフローチャート

 

合併症が起こった割合

 

合併症の内訳

 

全生存と無病生存のカプランマイヤー曲線

 

全生存期間の多変量 Cox 回帰分析

 

無病生存率のための多変量 Cox 回帰分析

 

結論

大腸癌の原発巣と同時性肝転移とを同時に切除しても、合併症率に差はみられなかった。

転移巣の切除を遅らせると全生存期間が損なわれる傾向があった。

 

まず、同時切除と遅延切除(二期的手術)のメリットとデメリットのまとめから。

同時切除の場合、1回の手術で済むというメリットがある。一方で、手術侵襲が大きくなるので、周術期合併症の発生率が高くなる可能性がある。

遅延切除の場合、周術期の合併症率を抑制する可能性がある反面、患者は2回の手術を受けなければならない。また、待機中に肝転移が増大したり、肝外へ播種したりして切除不能な状態に進行するリスクが生じる。

また、解釈において注意すべきなのは、この試験は全生存(OS)を比較するための試験ではないということである。副次評価項目として全生存の比較はされており、同時切除の方が優れた傾向が出ているが、単純に同時に切除すべきと判断するのは危険である。

まず、手術の侵襲は十人十色であり、十把一絡げにするのは不適切ではある。原発巣の部位が下部直腸だったり、肝転移巣が主要な脈管に近かったり、残肝量が少なくなったりすると手術侵襲が比較的大きくなる。その場合は、同時に切除しない方が良いかもしれない。

また、化学療法を周術期にどのように組み合わせるかも統一はされていない。化学療法は、投与期間中に肝障害を起こしたり、腫瘍が縮小・増大したりして、肝切除術に影響を与える。

結局のところは経験と勘に頼るところが大きくなりそうだが、原発巣と肝転移とを同時に切除する手術に耐えうると判断された場合には、合併症が大幅に増えるわけではなさそうなので同時切除を行うことをためらわないで良いと思われる。逆に、原発巣・転移巣のいずれかの手術が大掛かりなものになったり、患者がFrailであれば、無理せず二期的切除を狙うという戦略は妥当性があると思われる。

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