腸閉塞に関連した用語の定義

外科

正しく用語を使用することは、正確な情報伝達のためには非常に重要な要素です。

今回は、急性小腸閉塞に関するボローニャガイドラインを参考に、腸閉塞に関連する基礎的な用語についてのおさらいをしていきましょう。

Bologna guidelines for diagnosis and management of adhesive small bowel obstruction (ASBO): 2017 update of the evidence-based guidelines from the world society of emergency surgery ASBO working group

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腸閉塞 ( bowel obstruction )とイレウス ( ileus )

腸閉塞とイレウスとを混同して話している医療者が非常に多いのは周知の事実で残念に思われます。日本では伝統的に腸閉塞とイレウスは同義として扱われてきました。しかし、両者は別物なので区別して認識すべきです。

腸閉塞とは、狭窄や閉塞によって生じる「機械的な」腸管内容物の通過障害です。手術による狭窄・閉塞の解除が必要になる場合があります。腸管の蠕動を亢進させることは腹痛の悪化を招きます。通過障害が生じている原因の部位によって、小腸閉塞と大腸閉塞に分けられます。

イレウスとは、炎症や神経障害などによる腸管の蠕動不全によって生じる「機能的な」腸管内容物の通過障害です。手術は適応とならない場合がほとんどです。腸管の蠕動を回復・促進させるような薬剤の使用が有効な場合があります。

腹膜癒着 (Peritoneal adhesions)

「腹膜癒着」または単に「癒着」とは、「本来は分離されている、腹腔内の臓器や腹膜を接着させる線維組織」と定義されます。
このような癒着は、通常の「元の状態に戻る」修復とは異なり、損傷された腹膜の病理学的治癒反応の結果として起こります[16]。
典型的な癒着は、腹部手術による腹膜損傷の後に形成されます。癒着形成をもたらす可能性がある他の状態には、放射線療法、子宮内膜症、炎症、腫瘍に対する局所反応が含まれます。
非手術の病因による癒着は、慢性的な痛みや合併症を引き起こす可能性がよくあります[17]。
ただし、慢性の腹部の症状に対して癒着剥離することには議論があります[18 ,19]。

癒着性小腸閉塞

小腸閉塞は外科的緊急事態のひとつです。小腸の閉塞によって、腸内容物の通過が妨げられます。
小腸閉塞は、腹痛・嘔吐・腹部膨満・便秘を特徴とします。
癒着は小腸閉塞の最も一般的な原因です。 [20]。
非癒着性の腸閉塞の病因として、嵌頓ヘルニア・(悪性及び良性の)閉塞性病変・胃石などの結石・炎症性腸疾患・捻転などが挙げられます [21]、 [22]、 [23] 、 [24] 、 [25]。
癒着の確定的な確認は、手術中に行われます。腸閉塞が癒着性であることを非侵襲的に確認する方法には、癒着による腸閉塞の既往歴、CTなどの画像検査による他の腸閉塞の原因の除外が含まれます。

癒着剥離 (Adhesiolysis)

癒着剥離とは、手術中に鈍的または鋭的に癒着を剥離することです。
癒着性小腸閉塞の手術では、手術の主要なゴールになります。
癒着剥離は、術野への十分なアクセスのために、他の再手術の時にも行われます。
複雑な癒着は、癒着を実行している間に偶発的な損傷を引き起こします。

癒着剥離中の損傷

癒着剥離中の損傷は、腸管に最も頻繁に起こります。これらの腸管損傷は以下のように分類されます。

  • 漿膜筋層損傷(Seromuscular injury):漿膜および平滑筋層までの損傷。腸の内腔または腸内容物の漏出はありません。
  • 腸管穿孔、腸瘻(Enterotomy:):腸の全層損傷。腸の粘膜層または内腔が見えたり、腸内容物の漏出が起こり得ます。
  • 潜在性の穿孔(Delayed diagnosed perforation):術中には認識されなかった、手術中に生じた腸の損傷。通常、腸の損傷は修復されることなく閉腹され、術後に患者の状態が悪化します。

参考文献

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