再発性憩室炎に対する待機的S状結腸切除術『DIRECT試験とLASER試験の比較』

外科

再発したり、持続的な痛みがある憩室症に対して、待機的にS状結腸切除術を行うことがQOL改善につながるか?この臨床疑問に対して、2016年のLANCETでDIRECT試験と、2020年のJAMA SurgeryでLASER試験という2つのランダム化比較試験が発表された。

Comparing Laparoscopic Elective Sigmoid Resection With Conservative Treatment in Improving Quality of Life of Patients With Diverticulitis The Laparoscopic Elective Sigmoid Resection Following Diverticulitis (LASER) Randomized Clinical Trial

Surgery versus conservative management for recurrent and ongoing left-sided diverticulitis (DIRECT trial): an open-label, multicentre, randomised controlled trial

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主要なアウトカムは同様だった

結果はいずれも同様で、再発性憩室炎に対して待機的に腹腔鏡下S状結腸切除術を行うことで、保存的治療よりも、胃腸QOL指数(Gastrointestinal Quality of Life Index)が有意に改善した。

ただし、手術に伴い、重篤な合併症が一定の確率(10〜28%)で発生した。

2つの試験の違い

この2つの臨床試験にはいくつかの重要な違いがある。

憩室炎の再発と持続する痛みの頻度

LASER試験ではほとんどの患者(78%)が憩室炎を再発し、疼痛が持続する患者は少数(6%)にとどまっていた。

DIRECT試験では、少数の患者(37%)が憩室炎を再発し、ほとんどの患者(63%)が継続的な愁訴を訴えた。

保存的治療群で手術になった割合

LASER試験では、保存的治療に割り付けられた患者のうち、6ヵ月以内に手術に移行したのはわずか2例(4%)であった。

一方、DIRECT試験では56例中13例(23%)だった。

ストーマを要した頻度

LASER試験ではストーマ率が低かった(5%)。ストーマは7ヶ月以内に閉鎖された。

DIRECT試験の手術群では、ストーマを必要とした患者は10例(21%)と多かった。ストーマはほとんどの患者で6ヵ月の時点で閉鎖された。

手術群での重篤な合併症の頻度

Clavien-Dindo分類Ⅲa以上の重篤な合併症の頻度は、LASER試験では合併症は少なく4例(10%)のみであったのに対し、DIRECT試験では13例(28%)と多かった。

両群の患者の特徴は同様であった

これらの違いは患者の特徴(characteristics)の違いによって説明できるかもしれないが、LASER試験とDIRECT試験においては、以下の項目において非常に類似しているように思われた

  • 年齢中央値(LASER:両群とも59歳、DIRECT:手術群54歳、保存的治療群56歳)
  • 性別(LASER:手術群41人中11人が男性[27%]、保存的治療群44人中15人が男性[34%]DIRECT、手術群53例中15例が男性[28%]、保存的治療群56例中24例が男性[43%])
  • 平均(SD)体格指数(体重をキログラムで割ったものを身長をメートル2乗で算出;LASER、29. 3[4.7]、保存的治療群28.7[4.2]、DIRECT、手術群28.7[4.7]、保存的治療群27.8[4.9]

まとめ

LASER試験でもDIRECT試験でも、同様に、再発したり持続的な痛みを伴う憩室症の患者において、保存的治療よりも待機的S状結腸切除を行った方が、6ヶ月後の胃腸QOL指数は改善した。また、手術に伴い、一定の確率で重篤な合併症が発生した。

両試験にはいくつかの相違点もあった。

  • 憩室炎の再発の頻度
  • 痛みなどの症状が持続する頻度
  • 保存的治療を選んだものの手術群にConversionした頻度
  • 合併症の頻度

などが異なっていた。

これらの相違点も踏まえて、個々の症例に対する治療を検討する必要がある。

外科
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