膵頭十二指腸切除術(PD)におけるSMA first approachの種類

SMA first approach外科
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SMA first approachとは

膵頚部の切離前に、SMAを膵鉤部から剥離する。

Kocher授動術や結腸間膜の授動やSMV前面のトンネリングは行っておいても良い

SMA first approachの利点

手術で不可逆的なステップ(the point of no-return)に至る前に、切除可能性(SMAや腹腔動脈周囲への浸潤の有無)を評価できる。そのため、不適切な切除が回避できる。

その他、

  • R1切除や局所再発の減少の可能性
  • 膵背側のリンパ節の完全な郭清
  • 早い段階でIPDAを切離することで、鬱血を軽減し、出血が減少する
  • 門脈合併切除を容易にする
  • 異所性右肝動脈を早期に同定できる

などのメリットが提唱されている。

SMA first approachの種類

主に6つのアプローチ法が提唱されている。

SMA first approach

Posterior approach

Kocher授動後に、膵の背側から、左腎静脈を同定。そこから頭側にあるSMAへapproachする。

膵頭部背側で、SMA根部から末梢に向けてSMA周囲の剥離を行う。

IPDAの同定が容易になる。

門脈浸潤が疑われるような症例に適する。

膵頭部の炎症があったり、肥満患者では困難。

posterior approach

Right /Medial uncinate approach

SMA・SMVと膵鉤部との間を尾側→頭側方向に剥離する。IPDAを切離するとSMAと膵鉤部が分離されてくる。

遠位からの安全かつ正確なアプローチ法とされる。

膵周囲の炎症で門脈前面のトンネリングが困難な症例に適する。

IPDAが同定しやすい。膵全摘に適する。

右肝動脈がSMAから分枝する場合には不適。

Right /Medial uncinate approach

Inferior infra-colic approach /Mesenteric approach

横行結腸間膜を、空腸起始部から下十二指腸角(下行脚と水平脚の移行部)まで切離した後に、SMAとSMVの前面を露出する。Treitz靭帯を切離しておくと視野が良い。中結腸動静脈は根部で結紮切離。尾側→頭側へSMA周囲の剥離を行う。

癌のある膵頭部を把持することを避けることで、癌細胞の揉み出しを回避できることが期待される。

膵鉤部や腹側膵の悪性腫瘍に適する。

SMA背側の視野が良い。早期に右肝動脈を同定できる。

SMA根部が頭側にあったり、高度肥満の症例には不適。

Inferior infra-colic approach /Mesenteric approach

Left posterior approach

SMA左側の後腹膜を縦方向に切開し、下大静脈前面を剥離する。空腸起始部を患者左側に牽引し、SMAの空腸への分肢(J1a、J2a)を切離する。Treitz靭帯を切離した後に、SMAを右側へ牽引しつつ、空腸を左側に牽引する。すると、SMAが反時計回りに回転するので、SMAの背側〜右側の剥離が可能となる。J1vを切離すると、SMVが膵鉤部から剥離できる。

膵鉤部や腹側膵の腫瘍に適応される。

Kocher授動術をすることなく、SMAが剥離・露出できる。

Left posterior approach

Left posterior approach

Inferior supra-colic approach /anterior approach

網嚢を開放後、副右結腸静脈を切離した後にSMVをテーピングする。中結腸動脈を目印にしつつ辿っていき、SMAを同定する。

膵下縁でのSMAへの浸潤の有無が早期に確認できる。

Inferior supra-colic approach /anterior approach

Superior approach

総肝動脈、脾動脈、胃十二指腸動脈を露出後、膵上縁からSMA根部にアプローチする。

膵上縁でのSMAや総肝動脈や腹腔動脈への浸潤の有無が早期に確認できる。

SMA根部が尾側に位置する症例には不適。

Superior approach

参考

Artery first approach For Pancreatic Head tumours by Dr Harsh Shah (w…

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