複雑性急性虫垂炎の術後にドレーン留置した方が良いか【ガイドライン】

外科

穿孔や膿瘍形成を来した複雑性急性虫垂炎に対して、術後にドレーンを留置することは推奨されるのでしょうか?

今回はこの辺りの疑問について、エルサレムガイドラインを参考に見ていきたいと思います。

Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines

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成人の複雑性急性虫垂炎でドレーン留置は有効か?

2019年コクランレビューでは、複雑性急性虫垂炎で緊急開腹虫垂切除術を受けている患者に関して、ドレナージありとドレナージなしを比較する6つのランダム化比較試験(参加者521人)が分析されました。

著者らは、腹腔内膿瘍または手術部位感染について、ドレナージの効果があると判断するには、エビデンスが不十分であると結論しました。

ドレナージ群での、30日間の全体的な合併症率のリスクの増加や、2.17日間の入院期間増加は非常に質の低いエビデンスであると評価されました。

したがって、複雑性急性虫垂炎に対して、開腹虫垂切除術を受けた患者にドレナージを行うことによって臨床経過が改善するというエビデンスはありません[174]。

質の低い研究で、日常的なドレナージはその有用性が証明されていません。

より多くの合併症、入院期間の延長の原因となると報告されています[175]。

Schlottmann らによる大規模な後方視的コホート研究において、複雑性急性虫垂炎で、ドレーンを留置しても、腹腔内膿瘍の減少や入院期間の点でメリットをもたらしませんでした[176]。

小児の複雑性急性虫垂炎でドレーン留置は有効か?

小児の穿孔急性虫垂炎に対して、腹腔鏡下虫垂切除後の、ドレナージの予防的使用は、術後合併症を防止せず、むしろ否定的な結果と関連している可能性があります。

Aneiros Castro らは、穿孔型急性虫垂炎に対して腹腔鏡下虫垂切除術を受けた192人の小児患者(平均年齢7.77±3.4歳)を後方視的に分析し、腹腔内膿瘍、手術部位感染、腸閉塞の発症率において、ドレーン群とドレーンなし群の間に統計的に有意な差はなかったと報告しました。

ドレナージ群は、抗生物質や鎮痛薬の必要量の増加、絶食時間の増加、手術時間の増加、入院期間の増加と統計的に関連していました[177]。

「消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018」の推奨

ちなみに、日本発のガイドラインである「消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018」では、

多くの症例でドレーン留置は不要であるが、腹腔内洗浄を必要と判断した患者ではドレーン留置を考慮すべき場合も存在することを示している

と、このトピックをまとめています。

まとめ

成人患者では、穿孔性虫垂炎および膿瘍/腹膜炎に対して、虫垂切除後のドレーンの使用は推奨されません。

ドレーンは腹腔内膿瘍の予防には効果がなく、入院期間が長くなるだけでなく、30日間の合併症率と死亡率が増加するという質の低いエビデンスもあります。

→成人患者で、複雑性虫垂炎の虫垂切除後にドレーンを留置することは推奨されません

[QoE:中程度;推奨の強さ:強い; 1B]。

※腹腔鏡が主流となった現在と比べると、あまり臨床状況に合致していないエビデンスなので解釈には注意が必要です。

小児の穿孔性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術後の腹部ドレナージの予防的使用は、術後合併症を防止せず、否定的な結果と関連している可能性があります。

→小児の複雑な虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術後の腹腔ドレナージの予防的使用を行わないことが推奨されます。

[QoE:低;推奨の強さ:弱い。 2C]。

参考文献

174.

Li Z, Zhao L, Cheng Y, et al. Abdominal drainage to prevent intra-peritoneal abscess after open appendectomy for complicated appendicitis. Cochrane Database Syst Rev. 2018;5:CD010168.

PubMed Google Scholar

175.

Allemann P, Probst H, Demartines N, et al. Prevention of infectious complications after laparoscopic appendectomy for complicated acute appendicitis—the role of routine abdominal drainage. Langenbecks Arch Surg. 2011;396:63–8.

PubMed Google Scholar

176.

Schlottmann F, Reino R, Sadava EE, et al. Could an abdominal drainage be avoided in complicated acute appendicitis? Lessons learned after 1300 laparoscopic appendectomies. Int J Surg. 2016;36:40–3.

PubMed Google Scholar

177.

Aneiros Castro B, Cano I, García A, et al. Abdominal drainage after laparoscopic appendectomy in children: an endless controversy? Scand J Surg. 2018;107:197–200.

PubMed CAS Google Scholar

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