DST(double stapling technique)とSST(single stapling technique)の比較

DST vs SST外科

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DST(double stapling technique)とは

DSTとは、ステープルラインが二重に交差する箇所ができる吻合法です。
高位前方切除や低位前方切除における、サーキュラーステープラーを用いた端々吻合が代表的です。単にDSTというだけで、これらを指すことも多いです。
ただ、言葉の本来の意味としては側端吻合であってもDSTの一種であると言えます。
また、一般的に行われる高位や低位前方切除でのDSTでは、2カ所ステープルラインの交差点ができますが、1カ所だけ交差するhemi-DSTと呼ばれる方法もあります。

DST hemi-DST

肛門側腸管をステープラーで切離し、口側断端にアンビルヘッドを付け、経肛門的に挿入したサーキュラーステープラーのセンターロッドをステープルラインの中央から打ち抜き、アンビルヘッドと結合させ、吻合する、というやり方が一般的です。

SST(single stapling technique)とは

SSTとは、ステープルラインが交差しない吻合法です。
胃全摘での食道空腸吻合をサーキュラーステープラーを用いて行う端側吻合が代表的です。
高位前方切除でも端側吻合としてSSTを行うこともあります。
口側断端にアンビルヘッドを付け、肛門側断端から数cm離した部分の側壁を打ち抜いたセンターロッドと結合させ、吻合する、というやり方です。

直腸の吻合におけるSSTとDSTの比較

ここでは、高位前方切除や低位前方切除におけるSSTとDSTの比較をしてみたいと思います。

DSTはより低位での吻合が可能

SSTでは、肛門側断端からある程度吻合部までの距離を余分に必要とするという特性上、吻合部があまり低位の場合には使えません。
その点、DSTは吻合器の先端さえ経肛門的に挿入できれば吻合可能なので、より低位での吻合であっても実施可能です。

DSTの方が縫合不全が多いかもしれない?

以前は、DSTはSSTに比べて縫合不全が多いとされてきました。
確かに、DSTでは、ステープルラインが交差する部分が構造的に弱くなるので、物理的には耐圧性は低くなります。
ただ、近年の報告では、臨床的に有意な差となることはあまりないようです。
ステープラーの技術的進歩や、経肛門チューブ(trans-anal tube;TAT)の広まり、腹腔鏡手術の技術的成熟が影響しているのかもしれません。
きちんとした手順を踏んで行えば、縫合不全という点において、DSTが特に劣るとは言えないようです。

DSTの方が吻合部狭窄が起こりやすいかもしれない?

こちらも以前は、DSTはSSTよりも吻合部が狭くなりやすいと言われてきました。
確かに理論的には、SSTの方が吻合口が正円に近くなるので、吻合口が広く保たれやすいと言えます。
ただ、実際の吻合口の大きさは、ステープラーを押し込んだ圧や、周囲組織の巻き込みなど、多数の要素に影響され得るため、臨床的に問題になるような吻合部狭窄は両者で有意な差はないとされているようです。

SSTの方がLARS(low anterior resection syndrome)が少ないかもしれない?

LARSとは、前方切除後にしばしば見られる下記のような便通異常の症状が起こる症候群です。

LARSの症状

  • いったん排便が起こると数回続く
  • 下痢と便秘を繰り返す
  • 便失禁する
  • 排ガスが増える

SSTは盲端がパウチのような役目を果たすことで、便の貯留能が増し、LARSを軽減する可能性があるかもしれません。
ただ、これも直腸周囲の神経障害などの影響が大きいところであり、機械的な盲端ができることが、どれだけ症状軽減につながるかは定かではありません。

まとめ

DST(double stapling technique)とは、ステープルラインが二重に交差する箇所ができる吻合法。SSTと比較してより低位での吻合にも適応可能。
SST(single stapling technique)とは、ステープルラインが交差しない吻合法。DSTと比較して、縫合不全が少なかったり、吻合口が狭窄しづらかったり、LARSという便通異常が起こりにくい可能性が示唆されているが、定かではない。

 

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