DST(double stapling technique)による端々吻合

外科

今回は、主に、S状結腸切除や直腸低位前方切除において実施される、DST(double stapling technique)を用いた端々吻合について解説したいと思います。

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肛門側の腸管切離

まず十分に腸管を肛門側まで授動しておきます。これが不十分だと、腸間膜処理や腸管切離がやりづらくなります。また、吻合時に膣などを噛み込んで直腸膣瘻を起こすこともあり得ます。

授動の後に、腸間膜を全周性に処理します。腸管壁を損傷しないように、なるべく斜めにならないように気をつけましょう。

切離ラインより口側で腸管をクランプし、経肛門的に腸管内腔を洗浄します。癌細胞を縫合器で噛み込まないように、少なくとも500〜1000mlほどの生理食塩水を用いて十分洗浄しましょう。

肛門が狭い場合は、ここで用手的に広げておきます。

洗浄後、自動縫合器を用いて肛門側腸管を切離します。

Signiaであれば紫、Echelonであれば黒または緑のカートリッジを使います。

1回で切れそうであれば60mmのカートリッジを使用します。

低位での切離となり、1回切りが困難であれば、1回目45mm、2回目45mm(または60mm)の計画的2回切りを行います。

切離に3回以上要したり、切離線がジグザグになると縫合不全の原因となるので絶対に避けてください。やはり事前に肛門側の授動を妥協せず行っておくのがポイントです。

また、良型のステープル形成のために、ファイア前には15〜30秒間ほど待って、組織の厚みをなじませておくことも重要です。

口側の腸管切離

小開腹した創部から腸管を体外へ引き出します。

郭清したリンパ組織を切除側に含めつつ、切離予定ラインに向けて腸間膜を処理します。

辺縁動脈から分岐する直動脈の走行をしっかり意識して、辺縁動脈を結紮切離しましょう。

巾着縫合器(波型鉗子やPSIなどの呼び名あり)をかけたら、口側腸管を切離して標本を摘出します。

口側断端に自動吻合器(サーキュラーステープラー)のアンビルヘッドを挿入し、タバコ縫合で固定します。

吻合器の径はEEAなら28mm、CDHなら29mmを使用することが多いです。

ただし、超低位での吻合となる場合や、腸管が細い場合、肛門が狭い場合などは無理せず25mmのものを使用します。

アンビルヘッドを固定したら腸管を腹腔内へ戻します。

吻合部の緊張の確認

吻合に先立って吻合部に過度な緊張がかからないか確認します。

口側腸管断端を肛門側断端まで下ろした時に、余裕を持って接触する程度であれば大丈夫です。

もし、引っ張らないと届かない状態であれば、口側腸管をさらに授動しましょう。

吻合部に過度の緊張がかかると縫合不全の危険が増します。

自動吻合器(サーキュラーステープラー)の挿入

経肛門的に吻合器本体を挿入します。

吻合器本体および腸管内に多量の潤滑ゼリーを付けておきましょう。潤滑剤が少ないと、粘膜が重積したり、最悪の場合、腸管が裂けたりしかねません。

肛門管は直線的に突っ込むと、肛門管を超えた途端に抵抗が抜けて、急激に奥に入って危険なので、ボタンを留めるように斜めにしつつ入れたり、回転させながら入れることが多いです。

高位での吻合の場合は、残存腸管が長いので、奥まで挿入するのもコツが要ります。

DST

直線的に岬角へ向けて入れるのではなく、仙骨前面に沿わせるように、先端を曲線的に挿入していくことで、内腔で粘膜が重積するのを防ぐことができます。

dst

助手は直腸の腹側の組織を挙上し、視野展開を行いましょう。

助手は視野展開

センターロッドを出す

奥まで吻合器が入ったら、センターロッドを出します。

狙い目としては、直腸切離の縫合器のステープルラインの中央かつステープルラインのすぐ脇です(下図1)。ステープルライン自体にセンターロッドを出すと、そこから断端が裂けることがあるので避けるようにします。

計画的2回切りを行った場合(下図2)なら、2つのステープルラインの交点の脇を狙います。

dst

続いて、悪い例です。

上図3のように、縫合器のステープルラインが吻合器先端の辺縁に近い場合は、虚血領域ができるため危険です。

また、上図4のように、縫合器のステープルライン断端と吻合器のステープルラインが重なる場合も、そこが脆弱になるため危険です。

アンビルヘッドとセンターロッドを結合

dst

センターロッドとアンビルヘッドを結合させます。

この操作に力は必要ありません。きちんと両者の軸を合わせるのがポイントです。

脚間で吻合器本体を操作する助手にも、吻合器先端の向きを微調整してもらいましょう。

口側腸管の腸間膜が捻れていないことを確認したら、ゆっくり吻合器を締め込んでいきます。吻合部に膣や脂肪などを噛み込まないように注意してください。

吻合器本体を押し込みすぎた状態で締め込むと、吻合部狭窄の原因となるので、脚間の助手は適度なテンションを意識しなければなりません。

ファイア

アンビルヘッドとセンターロッドを結合させ、十分に密着させたらいよいよファイアです。

吻合時のファイア前にも数十秒待つことが多いですが、こちらは直腸切離前の待ちとは違って、あまりエビデンスはないようです(ただ、吻合部に異物が挟まっていないかなどを確認していたら大体これくらいの時間は経ちます)。

ファイアは器械の操作に従って型どおり行います。

ファイアした後は、組織をなじませる目的と、吻合部出血を防ぐ目的で1分ほどそのまま待ちます。

その後、吻合器を肛門から愛護的にゆっくり回しながら引き抜き、吻合器に残された腸管断端が欠損のないリングになっているか確認します。

リークテスト、経肛門チューブ留置

吻合の確認のため、経肛門的にネラトンカテーテルなどを挿入し、空気を入れてリークテストを行います。

もしもエアリークがあれば、

• 吻合部を切除して、吻合自体を最初からやり直す

• カバーリングストマを造設する

• 縫合補強を追加する

といった対策を取らなければなりません。

リークテストで問題なければ経肛門チューブ(trans-anal tube : TAT)を留置して吻合完成です。

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