詳細かつ具体的なICG負荷試験の実践ガイド

ICG負荷試験外科

肝切除の際に肝臓の切除範囲を決めるに当たって重要な検査のひとつがICG負荷試験。

この検査は、患者さんには絶食や安静を強いたり、何度も採血をしたりという負担がある上に、時間通りに採血する必要があるためミスが許されない。

意外とやり方の詳細などは知られていないのでまとめてみた。

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ICG負荷試験の目的

ICG負荷試験は、肝臓の代謝能力を見る検査。

静脈内に注射されたICGは、血中から肝臓に取り込まれ、胆汁中へ排出される。

ICGの血中からの消失率や血中の停滞率をみることで、肝臓の代謝能力が分かる。

肝機能が良好であれば速やかに血中からICGは消失するが、肝機能が不良であればICGの消失は緩慢になる。

この数値を元に、一般的には幕内基準に従って肝臓の切除可能範囲が判断されている。

ICG負荷試験 幕内基準

ICG負荷試験で使用する薬剤

ICG(インドシアニングリーン)

商品名は、ジアグノグリーン注射用25mgなど。

ICG負荷試験

ジアグノグリーン25mgが入ったバイアルと注射用水10mlがセットになっている。

インドシアニングリーンとして体重1kg当たり0.5mgに相当する量を注射用水で5mg/mL程度に希釈し、肘静脈より30秒以内に症状に注意しながら徐々に静脈内投与する。

そのため、事前に体重を確認しておく必要があるし、体重が50kgを超える場合は、2バイアル準備しておく必要がある

ICG負荷試験の注意事項

禁忌

ICG負荷試験

意外と知らない人もいるが、ヨード過敏症の既往歴のある患者には禁忌である!造影剤アレルギーがないかは要確認!!

また、当然ながら、ICG(インドシアニングリーン)にアレルギーがある場合も禁忌となる。

絶食と安静

肝血流量の増減を防ぐため、検査前は絶食にしてもらい、なるべく安静にしておいてもらう。

体重が標準的でない場合

浮腫や肥満のため体重が多すぎたり、痩せのため体重が少なすぎたり、多量失血で肝血流量が標準的ではない場合には、血漿消失率で測定することが推奨されている。

ICG負荷試験の必要物品

  • インドシアニングリーン(ICG)を静注するための静脈ルート(採血するのとは反対側の上肢に確保しておく)
  • 体重に適した量を注射用水で溶解したインドシアニングリーン(ICG)
  • ストップウォッチ
  • 駆血帯
  • 酒精綿(アルコール綿)
  • 採血用の静脈路(ICGを静注するのとは反対側の上肢の肘正中皮静脈などの太い静脈に、20〜22Gのサーフローで確保してロックしておく)
  • 採血用スピッツ(静注前(前値)・5分後・10分後・15分後の4回採血する場合には4本)
  • 採血用の10ccシリンジ4本
  • ルート内の血液を破棄するための5〜10ccシリンジ4本
  • ヘパリン生食4〜8本

ICG負荷試験の概略

肝切除の術前検査として実施する場合は、「血中停滞率測定法」や「血漿消失率測定法」を実施する。

血漿消失率測定法の場合、インドシアニングリーン(ICG)静注後、5~15分の間に2回以上採血する。

静注前(前値)・5分後・10分後・15分後の4回採血することが多い。

それぞれのインドシアニングリーン(ICG)濃度を測定してもらい、それを基にインドシアニングリーン(ICG)の血漿消失率が算出される。

血漿消失率は、肝における血中色素の摂取と排泄機能を示している。

各種肝疾患(肝硬変、肝癌、黄疸、肝炎、胆石、胆嚢炎、バンチ症候群、門脈障害など)の場合には、正常者に比べ低値を示すとされている。

血中停滞率測定法の場合は、インドシアニングリーン(ICG)を静注し、15分後採血する。

その濃度から、停滞率が算出される。

この停滞率は、各種肝疾患の場合、正常値より高値となる。

血中停滞率測定法は、血漿消失率測定法にかわる簡易法であり、日常検査ではこれで十分であるとされている。

ただし、採血時間による微妙な誤差などによるエラーを防ぐため、消失率と停滞率の両方を確認する場合もある。

具体的なICG負荷試験の実施手順

  1. 検査前にあらかじめ体重測定をしておく。体重を元にインドシアニングリーン(ICG)の投与量を決める(体重1kg当たり0.5mgのICGを使用する)。
  2. 検査前の食事は1食抜いてもらう。検査前はなるべく安静にしてもらう。
  3. ICG投与用の静脈路と、採血用の静脈路を確保する。
  4. 検査直前にICGを5mg/mL程度の濃度(25mg全量使用する場合は約5ml)になるように付属の注射用水で溶解する。溶解時は泡立たないよう静かに溶かすこと。
  5. 投与前値を測定するための採血を行う(この時、ルート採血が楽々できない場合は、別の太い静脈路を確保するか、1回ずつ穿刺して採血することを考える)。採血前に駆血帯で上腕を圧迫し、ルート内の生食は破棄する。採血後には駆血帯を外し、ルート内をヘパリン生食でフラッシュする。
  6. 溶解したICGを緩徐に静注する。注入終了と同時にストップウォッチで15分の測定を開始する。
  7. ICG投与後はアレルギー反応が起こらないか観察しつつ検査を進める。
  8. 5分後・10分後・15分後に採血する。
  9. 検体は速やかに検査室に提出する。
  10. 検査終了後は安静解除し、食事摂取してもらう。
外科
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