手術動画撮影用のウェアラブルカメラの導入過程と使用法

外科
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開腹手術を記録するカメラが欲しい

腹腔鏡を使った手術が一般化し、手術の動画を用いて勉強することができるようになりました。
腹腔鏡の場合は、ハードディスクなどで実際の手術の一部始終が丸々記録できるので、後で簡単に見直すことができます。
しかし、開腹手術の場合は、まだまだ自身の手術を動画としてうまく記録に残すことができない状況です。
今回は、皆さんの参考のために、私自身が行っている手術の動画記録のための機材や方法などについて発表してみたいと思います。

手術動画撮影に使用するカメラの選択肢

まず最初に問題になるのがどのカメラを使用するかです。

手術室の無影灯や頭上のアームに備え付けてあるカメラ

おそらくどの病院の手術室にも、医療安全などのためにカメラが備え付けてあると思います。
しかし私の病院での、この頭上カメラは、自身の手術の復習のための記録用としては役立たずでした。
術者や助手の頭がかぶって術野が見えない、無影灯を動かす度にカメラのセッティングを変えなければならない、などなどの欠点がありました。

手術記録用に開発されたカメラ

拡大視鏡(サージカルルーペ)やヘッドライトなどとセットになった、手術記録のために開発されたカメラがあります。
明るいし、画質も良いので、細かい剥離層の差なども確認できます。
もしこれが使用できる環境ならば、ぜひ利用しましょう。
ただし、このカメラは相当高価です。一般人が気軽に購入できる価格ではないのが難点です。

ウェアラブルカメラ

専門用のカメラが使用困難ならば、一般用のカメラで代用しようと考えました。
しかし、通常の家庭用ビデオカメラでは、いくら小さいとは言え、術中に使うには大きすぎます。また、手術中は清潔になるため、自分自身でカメラを操作してすることができません。
そこで挙がった選択肢がウェアラブルカメラです。
ウェアラブルカメラとは、スポーツなどの記録用に開発された、身に付けるタイプのカメラです。手で持たなくても撮影できるようにできているため、手術中で手が使えなくても大丈夫です。
小型で、軽量で、手ブレ補正やバッテリーの持続時間などに優れているものが多く、一般家庭用のカメラでは最も優れていると言えます。

手術動画撮影用のウェアラブルカメラの選択

さて、一口にウェアラブルカメラと言っても、たくさんの種類があります。
ざっとリサーチしてみたところ、

* GoPro
* 中華製
* Panasonic HX-A1H
* SONY のアクションカム
* スマホ

辺りが候補に挙がりました。

スマホ

スマートフォンでも、ネックマウントなどを使用すれば使用は可能だと思います。
特に最近のスマートフォンのカメラ機能はかなり良いです。
ただ、私の場合は、スマホは、重くて疲れそうだという点と、血液などで汚染されたら嫌だという点から除外しました。

中華製

中華製は、一般的に当たり外れが大きいため、何となく信用しきれませんでした。
そのため、自身のプロフェッショナルの分野への投資先としては不適切と考え除外しました。

Panasonic HX-A1H

Panasonicのものは、その軽さが魅力的だったのですが、画質とバッテリー持続時間の不足(充電しながら録画できないようです)から除外しました。

以上からGoProとアクションカムが候補として残りました。

GoProか?アクションカムか?

この2つであればどちらでも良いかと思います。
大きさ、重量、画質、手振れ補正、静止画撮影など、どれをとっても優秀です。
どちらもモバイルバッテリーで充電しながら撮影できるため、長時間の手術でもバッテリー持続時間を気にする必要はありません。
私自身としては、何となくGoProの方に惹かれていたのですが、当時メルカリでかなりお得な出品を見つけたため結局はアクションカムを購入しました。
(GoProは高価ですが、その性能には申し分ありません。また、2020年現在アクションカムには存在していない、音声起動や音声コントロール機能があることは、手で操作ができない手術中の撮影において非常に魅力的です)

SONY のアクションカム「HDR-AS 50」の特長

手術の動画撮影用として適していると感じた点について挙げていきます。

映像が綺麗

ソニー独自のデバイス搭載で高精細な映像を残せます。
HDS−AS 50は、4K対応ではありませんが、普通に手術の復習のために観るには問題ない画質です。

高度なブレ補正機能を搭載

趣味のロードバイク乗車中や、子供を高い高いしたりしながらも使用してみましたが、ブレが気にならない安定した映像を記録できました。
手術中は、細かい体勢の変更はつきものですが、そんな状況でも安定したブレのない映像が残せます。

 装着しやすく、小型・軽量

本体重量は83g。ちょうど手のひらサイズのコンパクトボディです。
多彩なマウント法が可能であるため、手術記録用としてだけでなく、私生活でも活用できます。

大容量のXバッテリー搭載

連続撮影時間165分のスタミナバッテリーを採用しているため、鼠径ヘルニアなどの比較的短時間で済む手術であれば内蔵のバッテリーのみでも録画可能です。

モバイルバッテリーから給電可能

付属のマイクロUSBケーブルでモバイルバッテリーを接続すれば、USB給電が可能で、長時間撮影も可能です。
これはかなり重要な項目で、途中でバッテリー切れになって録れていなかったという事態を避けられます。

フルハイビジョン/60p撮影に対応

動きの速いシーンでもなめらかな映像を記録できるので、後で復習する時に速度を変えて観る時でも安心です。

逆さにマウントしても正位置で記録できる上下反転モード

上下を反転して記録できる上下反転モードがあるので、本体を逆さにマウントしても上下が正位置で記録できます。
角度調整の都合上、カメラを逆さにマウントした方が良いこともあります。そんな時でも、記録された映像は正位置に戻せるので便利です。

実際にアクションカムで手術動画を撮影する際の準備

さて、このような特長を持ったアクションカムですが、実際に使用するに当たって必要な準備がありました。

マウント法が悩ましい

特に問題となるのがカメラのマウント(身体への装着)法です。
SONY純正のマウント用のアタッチメントは色々あるのですが、そのうち手術中に使えそうなのは、クリップマウントかヘッドマウントかと最初は思いました。
(三脚で離被架や無影灯に固定するのは不安定だし、スタッフの頭で見えないことが予想されました)
幸い、メルカリで購入したセットには、一通りのアタッチメントが付いていたので、どちらも試してみました。

クリップマウントでは安定しない

クリップマウントは、どこにクリップするのか問題が発生。ヘッドギアとか巻くなら、結局ヘッドマウントと一緒じゃないかという結論に至り、実用化前に止めました。

ヘッドマウントは締め付けが辛い

続いて、ヘッドマウントを試してみました。

これは、頭にゴムバンドを巻いて、そこにアクションカムを装着するというものです。
映像自体は狙った場所を撮れるので、問題はありませんでした。
ただ、かなり締め付けられるのが辛く感じました。1時間やそこらであれば大したことないダメージなのですが、3時間くらいを超えてくると深刻なダメージになってきます。
胃切除は頑張れば何とか耐えられましたが、膵頭十二指腸切除は再建前に耐えられなくなり外してもらう始末でした。
他にも、ヘッドマウントだと、

* 見た目が仰々しい
* 受け渡された道具を少し確認する程度の頭の振りでも、後での復習中に酔いそうになる
* 軽量のカメラとは言え長時間になると重く感じる
* モバイルバッテリーからの給電ケーブルの捌きに工夫を要する

などの問題点がありました。

ネックマウントが最適

そこで、純正品以外も含めた他のマウント法を模索しました。
すると、ネックマウントなるものを発見し、早速購入してみました。

ちなみに、これはGoPro用なので、アクションカムで利用するにはアダプターが必要です。

このような装備で、実際に利用してみたところ

* 他のスタッフらとコミュニケーションを取るためにキョロキョロしても撮影範囲が変わりにくい
* 撮影範囲が変わりにくいので、術野がフレームアウトすることがない
* マウントしていることを忘れるくらい疲れにくい

など、良いことづくめで大満足でした。
ちょっと清潔ガウンを着るのが難しいという問題点はありますが、どうせ首元は準清潔領域なのであまり気にしていません。

 マウント法以外の準備

 急な手術のために交換用バッテリーがあると安心

バッテリートラブルで録画できないのはもったいないので、交換用のバッテリーは準備しておいて損はありません。
純正品は高いので、こちらで十分だと思います。

 

microSDカード

最低でもフルHDで撮るなら最低でも64GB以上の容量(約8.5時間録画可能)が必要です。できれば128GBが良いでしょう。4Kで録画するなら512GBくらいはあった方が良いと思います。
速度は、フルHDで録るならスピードクラス10以上、4KならUHSスピードクラス3は欲しいところです。
容量規格のXCやHCはホスト機器に合わせて選択してください。

フルHDならこちら。

4Kならこちら。

 

録画の設定

動画記録画素数は1920x1080で、フレームレートは60p/50pにしています(通常の初期設定)。
ズームですが、フレームアウトしないように、最大限までズームアウトして広角で撮影しています。
広角に撮影しておいて、QuickTimePlayerやVLCメディアプレイヤーで、観たい部分を部分的に拡大して観れば良いと思います。

 反省点

すごく不満というほどではないのですが、画質はさらに良くしても良かったと思っています。
今後、動画はさらに発展していく分野なので、躊躇せずに自己投資と考えて4K撮影が可能なモデルを選択しても良かったと思います。

まとめ

ウェアラブルカメラを使用して手術動画を撮影するまでの手順をご紹介しました。

この記事を参考にしていただき、ご自身の使用環境に合わせてアレンジしてもらえれば嬉しいです。

自分の手術を改善するためには復習が欠かせないので、ぜひとも導入を検討いただきたいと思います。

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