鼠径ヘルニアの診断方法【エコーや身体診察などの有用性】

外科

鼠径ヘルニア診断のゴールドスタンダードは鼠径部の診察である。

局所的な不快感を伴い、圧迫などにより縮小する鼠径部の膨隆が存在するなどの明らかな臨床的特徴があれば、身体診察のみで鼠径ヘルニアと診断できる。

しかし、場合によっては各種の検査機器が必要となることもありえる。

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身体診察

鼠径管に沿って外側から内側へ膨隆してくる場合は外鼠径ヘルニア(間接鼠径ヘルニア)、外鼠径輪(浅鼠径輪)辺りが前方に突出するように膨隆してくる場合は内鼠径ヘルニア(直接鼠径ヘルニア)と判別できることもある。

問診と身体診察の感度は0.745、特異度は0.963であると1998年のプロスペクティブコホート研究で報告されている。

特異度は非常に高いので、診察上明らかな鼠径ヘルニアであれば、それ以上の検査は不要である。

そのため、曖昧な鼠径部の痛みや原因不明の鼠径部の腫脹に対してだけ、さらなる診断のための検査を必要とする。

とくに、身体診察だけでは、「肥満の女性や男性の大腿ヘルニア」や、「一部のヘルニアのみが明らかな多発性ヘルニア」を見逃してしまうことがある。

超音波検査(エコー)

合計510人の患者を対象とした2つの研究で、エコーは非常に感度が高く、ヘルニアを特定するのに有用な方法であることが示された。

1999年のプロスペクティブコホート研究では、鼠径ヘルニアの検出に超音波検査は特異度0.945、感度0.815であることが示された。

エコー検査は、鼠径ヘルニアの診断を確認するために身体診察と併用することが推奨されている。「身体診察と超音波検査の併用」は「身体診察単独」よりも優れていることが示されている。

不明瞭な所見を有する患者は、鼠径ヘルニアが発生する確率が高いと思われる。そのため、不明瞭な所見を有する患者に対しては、間隔をあけて超音波検査を用いた評価を行うことが推奨されている。

大腿ヘルニアや身体診察ではっきりしないヘルニアのような困難な診断は、『日常的に利用可能で、比較的特異的で、費用対効果が高く、繰り返し利用可能で、他の疾患の診断にも有用で、電離放射線を使用せず、患者の受け入れもしやすい』という多くのメリットがあるエコー検査を用いて評価することが可能である。

さらに、妊婦では、鼠径部のしこりと痛みがある場合、鼠径ヘルニアと子宮円索静脈瘤と鑑別するためにカラードップラーエコーが有用である。

エコーガイド下神経ブロックの使用は、手術後の慢性疼痛の原因を診断するのに有用である。ある前向きコホート研究では、鼠径ヘルニア修復後の腸骨下腹神経ブロックよりも、エコーガイド下腹横筋膜面ブロックの方が、痛みの原因とコントロールが良好であると報告されている。 別の論文では、術後鼠径部痛の原因を診断するのに有用な方法として画像診断の使用を放棄した。このように、エコーガイド下神経ブロックは鼠径ヘルニア修復後の慢性疼痛の原因を特定するのに有効であると考えられる。

MRI、CT、ヘルニア造影

鼠径部USが陰性または診断不能の場合、診断を確立するためにダイナミックMRI、ダイナミックCT、さらにはヘルニア造影検査が考慮されることがある。

MRI

MRIでは、内転筋腱炎、恥骨炎、股関節症、腸骨滑液包炎、Nuck管水腫(異所性子宮内膜症と関連することがある)などを診断することができます。これらの疾患が鑑別診断に含まれている場合は、MRIが最も適した診断ツールである。

CT

CTは日本ではアクセスがしやすい検査モダリティであり、短時間で撮影可能で、侵襲も少ないため頻用される。ただし、鼠径ヘルニアの診断においては、超音波検査が優れた検査特性を持つことや、CTは放射線被爆を伴うことから、とくに小児や妊婦では控えることが望ましい。CTを実施すべき状況としては、ヘルニア内容の嵌頓や絞扼をを疑う場合に限られる。

鼠径ヘルニアの再発が疑われる患者の評価には、身体診察と超音波検査の併用が最も適しているが、身体診察と超音波検査の併用で診断が確定しない場合には、MRIやCTを考慮すべきである。1件の前向き研究と1件のレトロスペクティブケースコントロール研究は、いずれも質の低いものであるが、鼠径ヘルニア再発のための画像診断の問題を取り上げている。

超音波検査・CT・MRIは、メッシュ関連の症状、再発鼠径ヘルニア、時には神経腫を特定することにより、慢性的な鼠径部痛の非神経因性の原因を特定するのに有用である。

 

ヘルニア造影

ヘルニア造影検査(腹腔や腹膜前腔を造影する検査)は鼠径ヘルニアのみを診断することができ、他の疾患を診断することはできない。今日の臨床ではほとんど実施されることはない検査である。

まとめ

明らかな臨床的特徴があれば、問診と身体診察のみで鼠径ヘルニアと診断できる。そのため通常は、それ以上の検査を必要としない。

しかし、患者が鼠径部の症状を訴えるものの、ヘルニアが視診・触診で明確ではない場合、画像診断法を使用すべきかどうかが問題となる。

現在では超音波検査(エコー)が広く利用されている。まれに磁気共鳴画像検査(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、ヘルニア撮影が役に立つこともある。

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