特殊な患者での腹腔鏡と開腹虫垂切除の比較【ガイドライン】

妊婦 虫垂炎外科

高齢者や肥満患者やハイリスク患者や妊婦など、特定の患者グループでは、腹腔鏡下虫垂切除術が開腹虫垂切除術よりも優れているでしょうか?

今回はこの辺りの疑問について、エルサレムガイドラインを参考に見ていきたいと思います。

Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines

スポンサーリンク

周術期のリスクの高い患者

腹腔鏡下虫垂切除術は、高齢者や肥満などの特定の患者で安全で効果的です。 また、リスクがより高いカテゴリーの患者であっても、複雑性急性虫垂炎の治療として推奨されます。

Werkgartnerらによる後方視的コホート研究では以下のように報告されました。

周術期のリスクが高い患者(ASA-PS 3および4)における腹腔鏡の利点を調査されました。

腹腔鏡はわずかに長い手術時間と短い入院期間に関連しました。

合併症は、腹腔鏡でわずかに高頻度でしたが、開腹ではClavien-Dindo分類でより重度の合併症がより頻繁に発生しました[153]

リスクの高い患者の場合、腹腔鏡は安全で実現可能で、死亡率の低下、術後の合併症率、入院期間の短縮に関連していました。

高齢者

Wangらによる最近のメタアナリシスでは、腹腔鏡グループの126,237人の高齢患者と開腹グループの213,201人の患者を対象とした12件の研究が分析されました。

術後死亡率、術後合併症、手術部位感染は腹腔鏡後で少なくなりました。

腹腔内膿瘍は両群間で同様でした。

腹腔鏡の手術期間は長く、入院期間は短くなりました[154]。

肥満

American Surgeons of Surgeons NSQIP(小児データベース)のデータは、肥満が腹腔鏡の術後合併症の独立した危険因子でないことが判明しました。

肥満の子供では手術時間が増加しましたが、術後30日間の合併症は増加しませんでした[155]。

 

腹腔鏡は、肥満の成人患者で、開腹より安全なようです。

Dasariらによる系統的レビューでは、7つの後方視的コホート研究と1つのランダム化比較試験が検証されました。

肥満患者の腹腔鏡は、死亡率の低下(RR 0.19)、全体的な合併症率の低下(RR 0.49)、表層手術部位感染の低下(RR 0.27)、手術時間と術後入院期間の短縮に関連していました[156]。

妊婦

胎児死亡率が増加する可能性があるということで、妊娠中の腹腔鏡手術の安全性へについては、ここ10年以上に渡って懸念されてきました。

しかし、ここ最近の大規模な系統的レビューや比較研究のメタ分析の結果から、腹腔鏡が胎児死亡のリスク増加には関連しないと結論されています。

Leeらによる統合分析では、22件の比較コホート研究が検証されました。

4694人の女性が含まれ、そのうち、905人が腹腔鏡下虫垂切除を受け、3789人が開腹虫垂切除を受けました。

胎児死亡は、開腹と比較して、腹腔鏡で有意に高く、プールされたORは1.72でした。

ただし、感度分析の結果、効果サイズが1つの影響を受けていたことがわかりました。その研究を除外すると、胎児死亡は、腹腔鏡と開腹の間に有意差はありませんでした(OR 1.16)。

早産(OR 0.76)のリスクは両群間に有意差はありませんでした。

腹腔鏡は、開腹と比較して入院期間が短く、手術部位感染のリスクが低くなりました[157]。

まとめ

腹腔鏡下虫垂切除術は、肥満の成人患者、高齢患者、併存症のある患者において、開腹虫垂切除術と比較して、優れているようです。

腹腔鏡下虫垂切除術は、死亡率の低下、全体的な合併症率の低下、表在性創傷感染の低下、手術時間の短縮、術後入院期間の短縮に関連しています。

→肥満患者、高齢患者、および周術期リスクが高い患者に対して、開腹よりも腹腔鏡下虫垂切除術が推奨されます

[QoE:中程度;推奨の強さ:弱い。 2B]。

胎児の喪失と早産のリスクの点で、妊娠中の腹腔鏡下虫垂切除術は開腹よりも好ましいこと示唆されています。

腹腔鏡は、入院期間の短縮と手術部位感染の発生率の低下に関連しています。

→妊婦に対して虫垂切除が必要な場合は、腹腔鏡下虫垂切除術を開腹虫垂切除術よりも優先することが推奨されます。

妊娠中の腹腔鏡手術は、技術的に安全で実現可能です。

[QoE:中程度。推奨の強さ:弱い。 2B]。

参考文献

153.

Werkgartner G, Cerwenka H, El Shabrawi A, et al. Laparoscopic versus open appendectomy for complicated appendicitis in high risk patients. Int J Colorectal Dis. 2015;30:397–401.

PubMed CAS Google Scholar

154.

Wang D, Dong T, Shao Y, et al. Laparoscopy versus open appendectomy for elderly patients, a meta-analysis and systematic review. BMC Surg. 2019;19:54.

PubMed PubMed Central CAS Google Scholar

155.

Michailidou M, Sacco Casamassima MG, Goldstein SD, et al. The impact of obesity on laparoscopic appendectomy: Results from the ACS National Surgical Quality Improvement Program pediatric database. J Pediatric Surg. 2015;50:1880–4.

Google Scholar

156.

Dasari BVM, Baker J, Markar S, et al. Laparoscopic appendicectomy in obese is associated with improvements in clinical outcome: systematic review. Int J Surg. 2015;13:250–6.

PubMed Google Scholar

157.

Lee SH, Lee JY, Choi YY, et al. Laparoscopic appendectomy versus open appendectomy for suspected appendicitis during pregnancy: a systematic review and updated meta-analysis. BMC Surg. 2019;19:41.

PubMed PubMed Central Google Scholar

 

コメントで一緒に記事を盛り上げましょう!

タイトルとURLをコピーしました