腹腔鏡手術のカメラ持ち(カメラ助手)のためのマニュアル

外科

ラパロ(腹腔鏡)を用いた手術は術者と助手の協調によって初めて可能になる。そのためチームプレイが大変重要。とくに術者と前立ち助手の目となるカメラ持ち(カメラ助手やスコピストとも呼ばれる)の果たす役割は大変大きい。

ただし、外科の専門医だけで手術チームが組めるほど潤沢なスタッフがいる病院は多くはなく、初期研修医などがカメラ持ちを担当することが多い。

ここでは、外科専門医ではない初心者であっても、最低限のタスクが分かるように解説したい。

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カメラ(ビデオスコープ)の持ち方

カメラは基本的に両手で持つ。その方がアングルレバー(先端の角度を調整するためのレバー)を操作しやすいし、脇が閉まって安定したカメラ操作が可能になる。

ただし、どうしても他のスタッフと重なってしまうなどのために片手でカメラを持たざるを得ないこともある。

前述したように、脇は自然に閉めた状態で持つ。そうしないと三角筋や僧帽筋の疲労が辛くなる。

最後に、視野を安定させるためには手ブレしないことが求められる。そのためには、トロッカーにカメラを置く意識をもつと良い。そうするとカメラの重量をトロッカーに預けることができ、手とトラッカーの2点でカメラが支持されるので安定する。

基本操作

カメラの操作は、カメラ全体を動かす「大きな操作」と、先端の角度を調整する「小さな操作」を組み合わせて行う。

カメラを挿入する

ズームイン、つまりカメラを対象に接近させる操作。

視界が狭くなり、細かいところが見えやすくなる。

コマンドは、近寄る、寄る、近づく、接近、入れる、入る、近景、ミクロ、ズームインなど。

カメラを引き抜く

ズームアウト、つまりカメラを対象から遠ざける操作。

視界が広くなり、細かいところは見えにくくなる。

コマンドは、抜く、引く、離れる、遠景、マクロ、ズームアウトなど。

カメラの水平移動

カメラを右や左にパンする操作。

トロッカーの部分は動かないので、例えば左を見る時は、手元は右に振る必要がある。

コマンドは、右、左など。

水平移動で注意すべきは、カメラ持ち助手の立ち位置は通常固定されているため、単純にカメラを左右に振るだけでは水平線がおかしくなること。右(または左)にカメラを振りつつ、カメラの軸を右(または左)に回転させて、水平線を保持しなければならない(これが初心者には難しい)。

カメラの上下移動

カメラを上や下にティルトする操作。

水平移動と同様に、上を見たければ手元は下に下げる必要がある。

アングルレバーによる先端の向き・角度の調整

軟性鏡(フレキシブルスコープ)には、アングルレバーが付いている。

コマンドは見上げ、見下ろし、煽り(アオリ)、俯瞰(ふかん)など。

左側が上下、右側が左右に先端を動かすレバー。

Uはup、Dはdown、Lはleft、Rはrightで、レバーを倒すと、先端がその方向に曲がる。

真っ直ぐな先端が、

レバーを倒すと傾く。

ほぼ直角まで曲げられる。

なお、上下と左右はそれぞれ独立しているので、先端は自由に操作可能である。

基本的な考え方

カメラの動きの大小の使い分け

おおまかな移動はカメラ全体を動かす。

操作中の細かい撮像範囲の移動はアングルレバーで行う。

ズームインとズームアウトの使い分け

術野展開や道具の出し入れなどは引いて広く見せる。見えない場所での損傷には本当に注意が必要で、実際に痛い目にあったのを見たことが何度かある。

剥離操作は近接して精細に見せる。3Dならともかく、2Dのカメラはとくに近接しないと遠近感が分からないため、精細な視覚情報が分からない。それでは精緻な手術操作は行えない。

鉗子の隙間に入り込む

腹腔内にはすでに術者や助手のカメラが術野を成立させるためにスタンバイしている。

そこから剥離などの操作するにあたってカメラを良い位置に挿入していく必要がある。

鉗子に当たってしまうとカメラが自由に動かせなくなるため良い視野が保てなくなる。そのため、鉗子と鉗子の隙間の開いたスペースにカメラを滑り込ませる必要がある。イメージとしては下の画像のような感じである。

 

なるべくCoaxial  Viewにする

coaxial viewとは、術者の両手の鉗子の間にカメラを位置させる視点のことを言う。

術者の両手の間にカメラが入ることができると、人間本来の両手と目の位置関係に近くなるため操作が格段にやりやすくなる。アングルをうまく使って、なるべく術者の両手の鉗子の間から対象を正面視してあげるよう心がけたい。

術者の目になることに徹する

術者が見たい場所を画面中央に捉えるように常に意識する。全然どこを見たら分からない時はとりあえず術者の右手の鉗子を追跡する。

出血や変な結節などがあると、つい見たくなって勝手に撮してしまうが、あくまでも術者の目になることに徹する。

視野を常にきれいに保つよう意識する

カメラがミストなどで汚れて画面が曇ってきたら、「カメラ拭いて良いですか?」と術者に確認する。きれいな視野で操作を進めることは内視鏡外科手術の基本的必要条件である。

外科
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