低位前方切除術後症候群(LARS)という術後の排便障害の症状

LARS 症状外科
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背景

大腸癌は世界で3番目に多い。手術や化学放射線治療など向上により、生存率は向上してきている。
そこで、腸管機能障害を含む生存者のQOLへの問題に対する意識が高まっている。
低位前方切除術後の重要な問題のひとつにLARS(low anterior resection syndrome : 低位前方切除術後症候群)がある。
LARSは、「直腸切除後の腸機能の障害で、QOL の低下につながるもの」と定義されている。
この定義は実用的だが、便失禁や便意の切迫感などの膨大な数の症状が含まれる可能性がある。その結果、報告の不均一化につながり、LARSの有病率を正確に特定することが不可能となっている。

LARSスコア

そこでLARSスコアというものが開発された。

LARS スコア

  1. 便意の制御不能
  2. 液状の便失禁の有無
  3. 1日の排便回数
  4. 1時間以内の排便の反復の有無
  5. トイレへ駆け込むような切迫した便意の有無

の5つの項目をスコアリングし、

  • 20点以下はLARSなし
  • 21〜29点はMinor LARS
  • 30点以上はMajor LARS

としている。

LARSスコアの開発により、報告の標準化が進み、このLARSスコアを用いたLARSの有病率は41%(95%信頼区間34%~48%)と報告されている。
しかし、LARSスコアは排便を我慢する機能の障害を著しく過小評価する可能性があり、個々の患者の生活の質に対する症状の影響を正確に評価していないというデメリットがある。

LARSの症状

そこで、国際的なコンセンサス会議が開かれ、LARSについての症状がまとめられた。

International consensus definition of low anterior resection syndrome - Keane - 2020 - Colorectal Disease

症状

  • 腸の機能の変化、排便が予測できない
  • 排便習慣の一貫性の欠如
  • 排便回数の増加
  • 痛み(便意を感じた時、排便時、排便後)
  • 排便困難(残便感や全部便を出し切ることができない、全部の便を出し切るために何度もトイレに行かなければならない)
  • 便意の緊迫性
  • 失禁(意図しない多量の排便)
  • 汚れ(意図しない少量の排便で衣類や衛生用品が汚れる)

後遺症

  • トイレ依存(トイレから離れられない)
  • 便のことにずっととらわれる
  • 腸の不調
  • 特別な排便のための策略や妥協を要する

以下のような項目への影響

  • 精神的・気分的な健康
  • 社会活動や日常の活動
  • 関係性と親密さ
  • 役割、コミットメント、責任

この定義は、「腸の機能の変化、排便が予測できない」、「排便習慣の一貫性の欠如」という部分が、患者の実感とよく合致するとされる。

LARSの管理方法

LARSには確立された治療法はまだないのが現状である。また、非常に個人差があることも治療を標準化するのを難しくしている。

ロペラミドの内服が有効な可能性があり、実際に使用されていることが多い。

他には生活習慣の指導を行う。
いくつかの役立つと思われる項目を列挙する。

  • 排便を補助する薬や市販薬の使用
  • 下剤や下痢止めなど。
  • 骨盤底筋トレーニングやケーゲル体操
  • 排便訓練 これらは非外科的な治療法で、筋肉を鍛え直して、便失禁や便秘などの腸の機能障害を管理することができる。
  • 失禁に備えた用具を一式携帯する サバイバルパックを携帯する。流せるおしりふき、清潔な下着、ビニール袋、手指消毒剤などを入れておくと良い。
  • カウンセリング LARSに起因する課題について話すことで、ストレスを和らげ、人生の他のことに焦点を移すことができる人もいる。
  • 考慮すべき食生活の変化

食生活を変えることで、切迫感や失禁を抑制できるかもしれない。

  1. 頻繁に少量の食事を摂る
  2. ゆっくりとたっぷりの水分を摂る
  3. 便を緩めて固めるのに役立つ食べ物を食べる
  4. ガスの原因となる食品を避ける

 

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