癒着性小腸閉塞における特殊な患者群での留意事項

外科

癒着性小腸閉塞の管理に関して、若年者や高齢者や妊婦などの特別な患者群で留意すべきことは何があるでしょうか?

今回は、癒着性小腸閉塞に関するボローニャガイドラインを参考に、学習しましょう。

Bologna guidelines for diagnosis and management of adhesive small bowel obstruction (ASBO): 2017 update of the evidence-based guidelines from the world society of emergency surgery ASBO working group

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若年者

癒着に関連した合併症のリスクは生涯続きます。ほとんどの小腸閉塞は手術後2年以内に発症するものの、何年も経過しても新規の癒着性小腸閉塞は発症し続けます[1, 30, 72, 94, 95]。また、将来再手術を必要とするリスクは、若い患者ほど高くなります[96]。

小児

小児患者では、癒着に関連した合併症のリスクが高いです[1]。小児年齢で手術を受けた患者の最近のコホートでは、追跡期間中央値14.7年後の癒着性小腸閉塞の発生率は12.6%でした[29]。

したがって、若年患者は、癒着予防から最も高い生涯利益を得られる可能性があります[49]。
小児外科では癒着バリアを用いた試験は行われていないものの、小児患者を対象とした最近のコホート研究では、ヒアルロン酸カルボキシメチルセルロース癒着バリア(セプラフィルム®︎)の使用により癒着性小腸閉塞が有意に減少したことが示されています[97]。24ヶ月の追跡調査の結果、癒着バリアを使用して手術した小児患者の2.0%が癒着性小腸閉塞を発症したのに対し、癒着バリアを使用していない患者の4.5%が癒着性小腸閉塞を発症していました。

高齢者

高齢者では,生活の質を考慮することが意思決定において極めて重要です。
虚弱な患者では、手術後の回復が長期化し、以前の機能状態や生活の質に戻ることができない可能性があります[98、99]。

癒着性小腸閉塞の治療は、高齢者では併存疾患や薬物療法に支障をきたす可能性があります。
小腸閉塞の非手術的治療のために患者が絶飲食となった場合、経口薬の投与を中止または保留することの影響についての研究は乏しいです。最近のコホート研究では、エビデンスのレベルはかなり低いものの、糖尿病患者には早期介入が必要であることが示されました。糖尿病患者は、手術を24時間以上遅らせた場合、急性腎障害の発生率が7.5%、心筋梗塞の発生率が4.8%であることが示されました[100]。これらの合併症の発生率は、24時間以内に手術を行った糖尿病患者と、手術が遅れた非糖尿病患者とを比較すると、有意に高いものでした。

妊娠

妊娠中の小腸閉塞は非常にまれですが、胎児喪失のリスクを伴う重要な臨床上の課題です。
最近のレビューでは、妊娠中の腸閉塞の46例が、症例シリーズと症例報告からの文献で発見されました[101]。症例の約半数は癒着に起因しており、その原因は最も一般的には過去の腹部手術によるものでした。
症例報告の中で小腸閉塞を診断するために行われた画像検査は、超音波検査が10例(83%)、腹部X線検査が4例(33%)、MRI検査が4例(33%)、CT検査が3例(25%)でした。特筆すべきは、癒着性小腸閉塞の妊婦では、非手術治療の失敗率が高かったことです。癒着性小腸閉塞は23例報告されており、そのうち17例では非手術療法による初期管理が行われていました。非手術療法が失敗したのは16例(94%)でした。胎児喪失リスクは17%(n=8)、母体死亡リスクは2%(n=1)でした。

まとめ

特殊な患者群では、それぞれ癒着性小腸閉塞の管理において留意すべき事柄がある。

若年者や小児では、癒着防止剤を用いた二次予防が特に重要となる。

高齢者では、手術による体力の低下や、絶飲食による併存疾患の治療への影響が懸念される。

妊婦では、非手術治療の失敗率が高いことに注意が必要となる。胎児喪失リスクは低くはない。画像検査では、被曝を低減させる意識が必要となる。

参考文献

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