鼠径ヘルニアを蚊帳で治す!蚊帳メッシュと市販合成メッシュとの比較

外科

鼠径ヘルニアは男性の27%が発症するとされる非常に一般的な疾患である。

治療には手術が必要となるが、再発率を低減するために、一般的にはメッシュによる修復が行われる。

しかし、このメッシュがなかなか高価なものである。とくに発展途上国では、コストは治療への動機を萎えさせる深刻な問題となる。

そこで、近年、蚊帳メッシュ(モスキートネットメッシュ:mosquito net mesh:MNM)が途上国において注目されている。

今回はそのメタアナリシスをシェアしたい。

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参考文献

経済発展途上国における鼠径ヘルニア修復のための滅菌蚊帳メッシュの使用に関するメタアナリシス

Meta‐analysis of the use of sterilized mosquito net mesh for inguinal hernia repair in less economically developed countries - Ahmad - 2019 - BJS Open - Wiley Online Library

抄録

背景

鼠径ヘルニアは経済的発展途上国(LEDC)では一般的であり、重大な合併症と死亡率に関連している。

メッシュを用いたテンションフリー修復は世界的に標準的な治療法である。しかし、資源の不足と市販の合成メッシュ(CSM)の高価さが相まって、LEDCでの使用が制限されている。

滅菌された蚊帳網(MNM)は、低コストで入手しやすいCSMの代替品として浮上した。

このシステマティックレビューとメタアナリシスの目的は、LEDCにおけるヘルニア修復におけるMNMの安全性と有効性を評価することであった。

方法

開始から2018年8月までに発表されたすべての論文を対象に、システマティックレビューとデータメタアナリシスを実施した。

Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、Embaseデータベースを検索した。

一次アウトカム指標は、MNMを使用した場合のヘルニア修復術の術後合併症全体の発生率とした。

二次的アウトカム指標は、全合併症率、創感染症、慢性疼痛、血腫形成に関するMNMとCSMの比較であった。

結果

MNMを使用した患者1085人のコホートからなる9つの研究(RCT3件、非ランダム化試験1件、プロスペクティブ研究5件)が関連すると考えられた。

蚊帳 メッシュ

MNMを用いたヘルニア修復の全体的な合併症率は9.3%であった。

鼠径ヘルニア 蚊帳

術後合併症率(オッズ比0.99、95%信頼区間0.65~1.53、P=0.98)、重度または慢性の疼痛(オッズ比2.52、0.36~17.42、P=0.35)、感染(オッズ比0.56、0.19~1.61、P=0.28)、血腫(オッズ比1.05、0.62~1.78、P=0-86)については、MNMとCSMの間に有意差は認められなかった。

結論

MNMは術後合併症率が低く、安全性・有効性の点でCSMに劣る可能性は低い。

MNMは、財政的な制約がある場合には、CSMに代わる低コストの治療法として適している。

考察

選択バイアスなどのバイアスは完全には無くせないものの、このメタアナリシスにおいては、蚊帳メッシュは市販の合成メッシュに引けを取らないという結論となっている。

コストについては圧倒的に蚊帳メッシュが優れており、15×15cmのストリップであれば、たったの0.02ユーロと低いことが実証されている.

蚊帳メッシュの心配な点としては長期予後。オートクレーブで高温に晒して滅菌すると、一部のメッシュは縮んだりして形状が変化してしまったとのことだった。その点、市販の合成メッシュは耐久性においては優れている。

コストは将来必ず重視されてくる項目であり、今後、長期の再発率や合併症率などで非劣勢が証明されれば、蚊帳メッシュが先進諸国でも流行する可能性があると思われる。医療機器の市場は現在実質的には寡占市場である。今後それを揺るがしてくれるような新興企業が出てきてくれるかもしれない。

さらに、他にも腹腔鏡のトロッカーなど、もっと安価でも実際の臨床では問題ない程度の品質をもった商品が他にも開発されてくるかもしれない。

外科
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