胃癌の術前補助化学療法(neoadjvant chemotherapy)〜今後の展望〜

外科
Medical x-ray illustration of stomach cancer - stomach tumor

胃癌の術前補助化学療法(neoadjvant chemotherapy)〜術前と術後の補助化学療法の比較〜

胃癌の術前補助化学療法(neoadjvant chemotherapy)〜欧米における胃癌の周術期化学療法〜

胃癌の術前補助化学療法(neoadjvant chemotherapy)〜日本における胃癌の周術期化学療法〜

JCOG0501(大型3型/4型胃癌に対する術前S-1+CDDP)のNegativeな結果を受けて、少し萎んでいた胃癌のneoadjvant chemotherapyであるが、ここのところ新たなエビデンスも増えてきている。

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PRODIGY試験

PRODIGY試験はESMO 2019で結果が発表された、胃癌のneoadjvant chemotherapyに関する重要な試験である。

PRODIGY試験は、切除可能進行胃癌(cT2,3/N+またはcT4)に対して、

  • 「手術+術後S-1療法」(手術→化学療法:SC群)
  • 「Docetaxel(DTX)+Oxaliplatin(OX)+S-1併用の術前補助化学療法(DOS療法)+手術+術後S-1療法」(化学療法→手術→化学療法:CSC群)

の2群で、3年間の無増悪生存(PFS)を比較した韓国の第III相試験である。
術前DOSは3クール投与された。
副次評価項目は、

  • R0切除率
  • 術後の病理学的病期
  • 全生存
  • 安全性

だった。

この結果、
主要評価項目である3年PFSは、CSC群66.3% vs. SC群60.2%(HR=0.70、95% CI: 0.52-0.95、p=0.0230)で、術前にDOSを加えた方が有意に良好だった。
手術におけるR0切除率は、CSC群96.4% vs. SC群85.8%(p<0.0001)で、これも術前にDOSを加えた方が有意に良好だった。
病理学的完全奏効率は10.4%だった。
CSC群の89.9%という高い割合で術前DOS療法3コースを完遂できた。
術前DOS療法中に腫瘍が増大した症例は2.1%だった。
化学療法の有害事象や、術後補助化学療法の完遂率は、両群で有意差がなかった。
全生存については未成熟で有意差なしという結果だった「HR=0.84(95% CI: 0.60-1.19)、p=0.3383」

これらの結果から、今後、術前にDTX+OX+S-1の3剤併用化学療法による有効性が示唆された。
とくに切除可能境界の症例で、術前にダウンステージングすることでR0切除率を上げることが全生存延長につながる可能性が改めて示された。
今後、さらに国内でも同様の試験が行われるものと思われる。

日本での今後のエビデンスに期待

JCOG1509(NAGISA trial )

日本で2020年現在進行中の試験で、結果が待たれるものとして、JCOG1509が重要である。
これは、「胃癌に対するD2郭清を伴う胃切除術と術後補助化学療法への術前SOX療法の上乗せ効果を検討する第III相試験」である。
cT3-4/N+(肉眼型大型3型および4型を除く)を対象に、術前S-1+Oxaliplatin(OX)療法の効果の有用性を試す試験となっている。

JCOG1704 Bulky/PAN-GC DOS NAC Phase II

もうひとつ重要なものとしては、JCOG1704がある。
これは、「Bulky N+症例を対象にした、DOS療法を評価する第II相試験」である。
大きなリンパ節腫大があるもの(Bulky N+)もしくは大動脈周囲リンパ節 転移陽性の症例に対して、術前DOS療法3クールに加えて、D2郭清に加えて16番リンパ節郭清を伴う胃切除術とS-1による術後補助化学療法を行う。

まとめ

今後、JCOG1509の結果が出れば、胃癌のneoadjvant chemotherapyにSOXが加わるかもしれない。

また、ドセタキセルの上乗せによるさらなる術前のダウンステージング率向上にも期待がかかる。

他には、まだ本格的な試験はされていないかもしれないが、免疫チェックポイント阻害薬(Nivolmabなど)を併用することによる可能性も気になるところである。

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