膵癌の循環腫瘍細胞(CTCs)の臨床的意義【CLUSTER試験】

外科
Pancreas, x-ray hologram. 3D rendering on dark blue background
近年注目されている、循環腫瘍細胞(CTCs)や循環腫瘍DNA(ct DNA)に関する知見のシェアです。
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CLUSTER試験

背景

浸潤性膵管癌(いわゆる膵癌)は、診断精度の高いバイオマーカーが存在しないため、早期発見や疾患進行のモニタリングが困難だった。

しかし、近年になって、循環腫瘍細胞(CTCs)という新たな分子バイオマーカーが注目されている。これによって、膵癌の早期発見や治療に新たな可能性が示されつつある。

癌の遠隔転移のメカニズムは、以下のような仮説で説明されている。すなわち、「原発巣の腫瘍細胞が、隣接する血管系に侵入し、循環を介して全身に拡散し、遠隔部位でコロニーを形成し、そこで二次転移を引き起こす」というものである。

このような、遠隔転移の過程における循環腫瘍細胞(CTCs)の関与は、大多数の固形腫瘍で確認されている。

そのため、循環中の腫瘍細胞の変動は、病状の有力なマーカーとなり得る可能性を秘めている。

このような背景から、循環腫瘍細胞(CTCs)の動態に関する前向き縦断的コホート研究であるCLUSTER試験が行われた。

この研究の主要エンドポイントは、循環腫瘍細胞(CTCs)の動態と疾患状態との関連を特定することだった。副次的なエンドポイントは、早期再発および疾患特異的死亡率に関するCTCの予測能力の評価、およびCTCの動態の再発のマーカーとしての可能性を明らかにすることだった。

方法

CLUSTER試験は、膵癌の循環腫瘍細胞(CTCs)動態に関するプロスペクティブな縦断的研究であった。

膵癌と推定される診断を受けた、連続して登録された200人の患者から、複数の末梢血サンプルが採取され、そこからCTCが分離され、免疫蛍光によって観察された。

結果

循環腫瘍細胞の2つのサブタイプ

膵癌(浸潤性膵管癌)には、2つの主要なCTCs(循環腫瘍細胞)のサブタイプが同定された。すなわち上皮性CTCs(eCTCs)と上皮/間葉性CTCs(mCTCs)である。

治療に伴う循環腫瘍細胞(CTCs)の変化

術前化学療法を受けた患者は受けていなかった患者に対して、
  • 総循環腫瘍細胞(total CTCs)(tCTCs、P = 0.007)
  • 上皮性循環腫瘍細胞(eCTCs)(P = 0.007)
  • 上皮/間葉性循環腫瘍細胞(mCTCs)(P = 0.034)
が有意に低くなった。
 
原発巣切除は、CTCsの有意な減少をもたらす(P < 0.001)が、消失はしなかった。

循環腫瘍細胞は再発の予測因子

多変量ロジスティック回帰分析では、術前のすべての循環腫瘍細胞(CTCs)サブタイプの数は、術後補助療法を受けた患者と受けていなかった患者の両方において、手術後12ヵ月以内の早期再発の唯一の予測因子だった(オッズ比5.9~11.0)。

循環腫瘍細胞(CTCs)の増加は、再発を高精度で予測する

総循環腫瘍細胞(tCTC)の増加量の差に基づくリスク評価スコアは、2ヵ月以内の再発を正確に判定した。術前補助化学療法を受けていない患者では75%、術前補助化学療法後の患者では84%の予測精度だった。

まとめ

循環腫瘍細胞の動態は、疾患の進行と治療に対する反応を反映している。
現在の腫瘍マーカーや画像診断では得られない臨床転帰に関する重要な情報が得られる。

コメント

循環腫瘍細胞(CTCs)や循環腫瘍DNA(ctDNA)は近年注目されているマーカーで、今回の試験でもその可能性が示された。
膵癌は早期診断が非常に困難だが、この技術が進歩すれば、早期診断される症例が増え、生存率の向上につながるかもしれない。
また、治療の効果判定や治療の個別化にも有用と思われる。術前治療の効果判定や術後の再発リスクのより精度の高い予測によって、術後補助化学療法のレジメンを、症例ごとに最適化することにつながる可能性がある。
また、早期に再発が予測できれば、より早期に化学療法が導入できることにつながるため、予後を改善できるかもしれない。
ただ、検出感度の問題などまだ課題は多い。
今後の研究が期待される。
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