保存的治療後にインターバル虫垂切除術を行うべきか?【ガイドライン】

外科
Young man holding his stomach because he is having severe pain. XXXL size image taken with Canon EOS 5Ds an EF 70-200mm USM L.

急性虫垂炎に対して、手術せずにnon-operative managementが成功した場合、その後、全例にインターバル虫垂切除術(interval appendectomy)を行うべきでしょうか?

今回はこの辺りの疑問について、エルサレムガイドラインを参考に見ていきたいと思います。

Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines

スポンサーリンク

合併症のリスク

穿孔し、膿瘍形成した急性虫垂炎後の非外科的治療後の再発率は12%と報告されています[213]。
この非常に高い再発の可能性を回避するために、初期の保存的管理に続くルーティンの選択的インターバル虫垂切除術を推奨する報告もあります。しかしながら、この戦略は12.4%という無視できない合併症率を伴います[202]。
小児の非外科的治療の合計127例に対する、3つの後方視的研究を含むHallらによる系統的レビューは、非手術的治療の成功後、再発性急性虫垂炎のリスクが20.5%であることを示しました。全体として、報告された合併症には、手術部位感染、長期間の術後イレウス、血腫、腸閉塞が含まれていましたが、個々の合併症の発生率は特定されていませんでした[23]。

費用対効果

Darwazeh らによる最近の系統的レビューでは、虫垂の蜂窩織炎の再発の場合、インターバル虫垂切除術とnon-operative managementを再度行う治療とが同様の合併症率を示しました。しかし、選択的インターバル虫垂切除術は、8人に1人だけの再発を防ぐために、追加の手術費を要するということで、インターバル虫垂切除術のルーチンのパフォーマンスは正当化されないと報告されました[213]。

同様に、患者に24.3%の再発のリスクがあることを発見したRushingらは、他の症状のない患者では、虫垂周囲膿瘍をnon-operative managementで管理した後に、ルーティンのインターバル虫垂切除術を推奨しました[214]。
The CHINA RCT は最近、小児でnon-operative managementに成功した後の能動的な経過観察(3ヶ月毎に1年間通院。症状が出現したら虫垂切除)とルーティンのインターバル虫垂切除との結果を比較しました。結果は、4分の3以上の小児が、non-operative managementが成功した後の早期フォローアップ中に手術を回避できることが示されました。積極的な経過観察下で、組織学的に証明された再発性急性虫垂炎の小児の割合は12%であり、インターバル虫垂切除に関連する重篤な合併症を伴う小児の割合は6%でした。
インターバル虫垂切除後の合併症のリスクは低いものの、急性虫垂炎の再発または症状の再燃を発症した患者にだけ虫垂切除を行う待機的アプローチの採用は、ルーティンのインターバル虫垂切除と比較して、最もコストパフォーマンスの高い管理戦略と考えられました[215 ]。

悪性腫瘍のリスク

Renteriaらの研究では、急性虫垂炎の初期治療として虫垂切除術を受けた高齢者(平均年齢66歳)で3%、若年者(平均年齢39歳)で1.5%に、予測していなかった悪性腫瘍が見られました[216]。
早期虫垂切除術を受けた患者の1.5%とは対照的に、インターバル虫垂切除術で治療された複雑性急性虫垂炎の成人患者では、最大11%が虫垂腫瘍と診断されました[217]。
Mällinenらによるランダム化比較試験では、虫垂周囲膿瘍の最初の非手術治療が成功した後のインターバル虫垂切除術とMRIによるフォローアップとを比較しました。この研究は、17%という非常に高い悪性腫瘍の発見率という中間解析結果を受け、倫理的観点から早期に終了しました。[218]。
虫垂周囲膿瘍後に悪性腫瘍が有意に増えると将来の研究によって実証された場合、ルーティンのインターバル虫垂切除術が正当化されることになると思われます。

まとめ

穿孔性急性虫垂炎のnon-operative management後の急性虫垂炎の再発率は、12〜24%の範囲です。
虫垂の蜂窩織炎が再発した場合のインターバル虫垂切除術と再度non-operative managementを行う治療とでは、同様の合併症率を伴います。
ルーティンでインターバル虫垂切除術を行うことは、8人のうちの1人の患者の急性虫垂炎再発を防ぐためだけに追加の手術費用を要するということから、コストパフォーマンスとしては優れていません。
→若年成人(40歳未満)と小児の複雑性急性虫垂炎に対して、non-operative management後のルーティンでのインターバル虫垂切除は推奨されません。症状が再発した患者には、虫垂切除術が推奨されます。
[QoE:中等度;推奨の強さ:強い; 1B]。

複雑性虫垂炎の成人患者(40歳以上)では、虫垂腫瘍の発生率が高い(3〜17%)
→40歳以上の場合には、保存的に治療された虫垂炎患者に対して、下部消化管内視鏡検査による結腸のスクリーニングと造影CTの両方を実施することが推奨されます。
[QoE:低;推奨の強さ:弱い。 2C]。

参考文献

23.

Hall NJ, Jones CE, Eaton S, et al. Is interval appendicectomy justified after successful nonoperative treatment of an appendix mass in children? A systematic review. J Pediatr Surg. 2011;46:767–71.

PubMed Google Scholar

202.

Andersson RE, Petzold MG. Nonsurgical treatment of appendiceal abscess or phlegmon: a systematic review and meta-analysis. Ann Surg. 2007;246:741–8.

PubMed Google Scholar

213.

Darwazeh G, Cunningham SC, Kowdley GC. A systematic review of perforated appendicitis and phlegmon: interval appendectomy or wait-and-see? Am Surg. 2016;82:11–5.

PubMed Google Scholar

214.

Rushing A, Bugaev N, Jones C, et al. Management of acute appendicitis in adults: a practice management guideline from the Eastern Association for the Surgery of Trauma. J Trauma Acute Care Surg. 2019;87:214–24.

PubMed Google Scholar

215.

Hall NJ, Eaton S, Stanton MP, et al. Active observation versus interval appendicectomy after successful non-operative treatment of an appendix mass in children (CHINA study): an open-label, randomised controlled trial. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2017;2:253–60.

PubMed Google Scholar

216.

Renteria O, Shahid Z, Huerta S. Outcomes of appendectomy in elderly veteran patients. Surgery. 2018;164:460–5.

PubMed Google Scholar

217.

de Jonge J, Bolmers MDM, Musters GD, et al. Predictors for interval appendectomy in non-operatively treated complicated appendicitis. Int J Colorectal Dis. 2019;34:1325–32.

PubMed Google Scholar

218.

Mällinen J, Rautio T, Grönroos J, et al. Risk of appendiceal neoplasm in periappendicular abscess in patients treated with interval appendectomy vs follow-up with magnetic resonance imaging: 1-year outcomes of the peri–appendicitis acuta randomized clinical trial. JAMA Surg. 2019;154:200.

PubMed Google Scholar

コメントで一緒に記事を盛り上げましょう!

タイトルとURLをコピーしました