幽門側胃切除術の3つの再建法の比較

胃切除 再建外科

幽門側胃切除には、3つの主要な再建法がある。

ビルロートⅠ法

ビルロートⅡ法

ルーワイ法

である。

この3つの方法の特徴は外科医の必須知識。

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ビルロートⅠ法

日本では長らく第一選択とされてきた再建法。

 

ビルロートⅠ法のメリット

 

吻合は1箇所で簡便。食事の通路は生理的。これが最大のメリット。

他にも、術後に胆管にトラブルが起こった時にERCPがしやすい、だから、予防的胆嚢摘出は省略しやすいというのもメリット。

 

ビルロートⅠ法のデメリット

 

残胃が小さいと実行不能なのが大きなデメリット。ビルロートⅠ法にこだわると、断端の距離確保が甘くなり、断端再発がやや多くなるという可能性もある。実は、Kocher授動を追加すれば大概の場合ビルロートⅠ法でつながるが、緊張がかかると、ヒス角が鈍になり、逆流性食道炎になりやすかったり、縫合不全が増えるので無理は禁物。

また胆汁逆流を食らいやすいので、食道裂孔ヘルニアや逆流性食道炎が元々ある患者には適応としない。

縫合不全が起こるリスクがやや高いとも言われ、もし縫合不全が起これば、長期絶食が強いられる。そのため、虚弱な患者には適応しないのが無難。

ビルロートⅡ法

高齢で、Frailやvulnerableな患者に用いることが多い再建法。

 

ビルロートⅡ法のメリット

 

ビルロートⅡ法の最大のメリットは、縫合不全が少なく、かつ簡便であること。速くて安心なイメージ。

これを理由として、Fitではない虚弱者に用いることが多い。緊張もかかりづらいし、小腸と胃という血流豊富な肉厚臓器同士の吻合はやはり安心感がある。

 

ビルロートⅡ法のデメリット

 

ビルロートⅡ法のデメリットで押さえておくべきポイントは、胆汁逆流と残胃癌のリスクの2つ。

残胃癌のリスクがやや高いと言われるため、高齢者以外(余命10年以上?)には適応としないのが常識。

胆汁逆流は患者のQOLをかなり損ねるおそれがある。この方法も、もともと食道裂孔ヘルニアや逆流性食道炎がある患者には適用すべきではない。胆汁逆流は、ブラウン吻合を追加すればだいぶ軽減されるが、腹腔鏡手術が主流になってきた現在では、便宜上省略されることが多い。

胸焼け、つかえ感、下痢など、患者のQOLはあまり良くないとされる再建法である。

輸入脚症候群は有名だが、輸入脚側の吊り上げと、輸出脚を尾側に向くように吻合すれば、再発して狭窄しない限り大して問題にはならない

ルーワイ法

欧米で主流の再建法。

 

ルーワイ法のメリット

 

ルーワイ法のメリットは、逆流性食道炎や逆流性胃炎のリスクが低いこと。あとは、糖尿病の改善効果がビルロートⅠ法より優れているということも言われている。欧米では肥満者が日本より多く、メタボリックシンドロームや逆流性食道炎を持つ患者が多いので、ルーワイ法が流行したのかもしれない。

縫合不全が少なかったり、残胃の大きさに関わらず実施可能であることも大きなメリットである。

ダンピング症状もやや少ないと言われる。

 

ルーワイ法のデメリット

 

外科医としていちばん影響するのは、吻合が2箇所必要で、手術が煩雑であるということ。手術時間もビルロートⅠ法に比べるとどうしても長くなる。

あとは、ERCPがほぼ不可能であることも忘れてはならない。ダブルバルーン内視鏡を使えばvater乳頭にアクセスできないことはないがかなり難しい。そのため、予防的胆嚢摘出は実施しておくことが望ましいだろう。

さらに、腹腔鏡手術が増えてきた影響で、Petersenヘルニアと呼ばれる内ヘルニアが増加していると言われる。かならすPetersen defectは閉鎖しておくべきである。

また、頻繁に起こるものではないがRoux en Y stasis syndromeと呼ばれるイレウスが起こるリスクもある。

 

まとめ

 

胃切除 再建

 

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