成人の鼠径ヘルニア発症と術後再発の危険因子とは?

鼠径ヘルニア リスク外科

成人が一生のうち、累積で鼠径ヘルニア修復術を受ける確率は、男性で27~42.5%、女性で3~5.8%と決して低くはない。

成人における原発性鼠径ヘルニアと再発鼠径ヘルニアの発症には多くの危険因子が存在する。

これらの危険因子は、後天的なものから遺伝的なもの、修正可能なものから不能なものまで様々である。

外科医の管理下にあるものもあるが、そうでないものも多い。

今回は、The HerniaSurge GroupによるInternational guidelines for groin hernia managementから成人の鼠径ヘルニアの発症と再発のリスクについて学習したい。

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一次性鼠径ヘルニア(非再発性鼠径ヘルニア)の危険因子

鼠径ヘルニアの発症に影響する危険因子(エビデンスレベル-高)

  • 遺伝(鼠径ヘルニアと診断された一親等親族が鼠径ヘルニアの発生率を上昇させる。特に女性の場合)
  • 性別(鼠径ヘルニア修復は男性の方が約 8~10倍多い)
  • 年齢(間接鼠径ヘルニアのピーク有病率は5歳、直接鼠径ヘルニアのピーク有病率は70~80歳)
  • コラーゲン代謝異常(コラーゲンI型/III型比の低下)
  • 前立腺摘出術の既往(特に開腹手術)
  • 肥満(鼠径ヘルニア発症率が下がる要因となる)

鼠径ヘルニアの発症に関連する危険因子(エビデンスレベル-中等度)

  • 一次ヘルニアのタイプ(間接型と直接型の両方のサブタイプが両側に関連している)
  • マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP) -2.
  • まれな結合組織障害(例:エーラーズ・ダンロス症候群)

鼠径ヘルニア形成に関連する危険因子(エビデンスレベル-低)

  • 人種(黒人成人では鼠径ヘルニアが有意に少ない)
  • 慢性的な便秘
  • たばこ使用(鼠径ヘルニア発症と逆相関)
  • 社会的・職業的要因(社会階級、職業的要因と仕事の負荷と鼠径ヘルニアの発症を増やすという報告と減らすという報告があり矛盾しています)

鼠径ヘルニアの発症に関連する危険因子(エビデンスレベル-非常に低い)

  • 肺疾患(COPDと慢性咳嗽が鼠径ヘルニア形成のリスクを高める可能性がある)

再発性鼠径ヘルニアの危険因子

鼠径ヘルニアの再発に影響する危険因子(エビデンスレベル-高)

女性

直接鼠径ヘルニアは間接鼠径ヘルニアより再発率が高い

年間の鼠径ヘルニア修復術の手術数が5例未満

手術経験数が少ない

鼠径ヘルニアの再発に影響する危険因子(エビデンスレベル-中等度)

  • 滑脱型ヘルニアの存在
  • コラーゲンI/III型比率の低下
  • 全身性マトリックスメタロプロテアーゼレベルの上昇
  • 肥満
  • 一般外科医による局所麻酔下での開腹ヘルニア修復

10万~20万件の修復の特徴を検討した最近のメタアナリシスでは、「ヘルニア門のサイズ(3cm以上 対 3cm未満)」と「両側性」は再発のリスクに影響を与えないことが示された。

不適切な手術手技は、おそらく一次鼠径ヘルニア修復後の再発のための最も重要な理由である。

  • 不適切な手術手技とは、
  • メッシュによるヘルニア門のオーバーラップの欠如
  • 不適切なメッシュの選択
  • 適切なメッシュ固定の欠如

などが挙げられる。

鼠径ヘルニアの再発に影響する危険因子(エビデンスレベル-低い、非常に低い)

  • 術後早期の血腫形成
  • 緊急手術
  • 飲酒量が少ない(1~7杯/週以下)
  • 高齢者
  • COPD
  • 前立腺摘除術後
  • 手術部位感染症
  • 肝硬変
  • 慢性便秘
  • 鼠径ヘルニアの家族歴

喫煙は、一貫して鼠径ヘルニアの再発の危険因子であることが示されていない。

再発との関連が不明な項目

  • 慢性腎臓病
  • 社会階級
  • 職業
  • 仕事の負荷
  • 妊娠
  • 労働
  • 人種
  • 術後の血腫の発生

まとめ

遺伝、対側の鼠径ヘルニアの既往、男性、高齢、コラーゲン代謝異常後天的な鼠径ヘルニアの発症リスクである。

前立腺摘出術の既往、低いBMIは後天的な鼠径ヘルニアの発症リスクである。

今後の研究はこれらの先天的及び後天的なリスク因子について検討するべきである。

先天的な要因(解剖学的、女性、コラーゲン代謝異常)、後天的な要因(肥満)、手術に関連する要因(稚拙な手術手技、少ない手術症例数、不慣れな外科医、局所麻酔)など、いくつかの重要な鼠径ヘルニア再発のリスク因子がある。

後天的、外科的、周術期のリスクは、潜在的には修正可能であり、実施される修復術に影響を与える可能性があるため、強く認識しておくことが推奨される。

 

鼠径ヘルニア リスク

 

参考文献

International guidelines for groin hernia management

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