単孔式 vs 従来法(3ポート)の虫垂切除術の比較【ガイドライン】

外科

成人および小児の急性虫垂炎に対して、1つの切開で手術を行う単孔式と従来の3ポートでの腹腔鏡下虫垂切除術はどちらが優れた結果をもたらすのでしょうか?

今回はこの辺りの疑問について、エルサレムガイドラインを参考に見ていきたいと思います。

Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines

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成人

最近の研究では、レベル1aの証拠として、単孔式腹腔鏡下虫垂切除術(single incision laparoscopic appendectomy : SILA)が、従来の3ポートでの腹腔鏡下虫垂切除と同様に実現可能で、効果的で、安全であることが示されています。

安全性、合併症、手術時間などの比較

成人を対象としたエビデンスレベルの高いメタ分析では、単孔式と従来法とで、安全性に有意差がないことを示しています。
ただし、単孔式は、手術時間が大幅に長く、必要な鎮痛薬の投与量が多くなりました[143]。

Aly らによるメタアナリシスでは、2012年から2014年の間に発表された、合計995人の患者を対象とした、合計8つのRCTが含まれていました。 従来法と単孔式の間で、合併症発生率・術後イレウス・入院期間・職場復帰までの期間・術後疼痛の点で有意差は見られなかった。
従来法は単孔式よりも手術時間が短縮され(平均差5.81 [2.01、9.62]、P = 0.003)。開腹転換率が低くなりました(OR 4.14 [1.93、8.91]、P = 0.0003)。
逆に、単孔式の方が創傷の美容において優れていました(平均差0.55 [0.33、0.77]、P = 0.00001)[144]。

小児

小児では、最近の2つのRCTにより、単孔式は許容範囲の安全範囲で実現可能であることが示されました。

安全性、合併症、手術時間などの比較

単孔式は、従来法と比較して、鎮痛剤の使用と入院期間に関して有意差はなく[145]、手術時間は延長しました。
CRPやIL-6レベルで測定される外科的侵襲は単孔式の方が高くなりました[146]。
Zhangらによる大規模なメタアナリシスでは、全術後合併症の発生率・腹腔内膿瘍・イレウス・創部血腫・入院期間・追加の鎮痛剤の使用頻度に関して、単孔式と従来法との間に有意差は観察されませんでした。
しかし、単孔式は従来法と比較して手術部位感染の発生率が高く、手術時間が長くなりました[147]。

Karamらは、経臍的腹腔鏡補助下虫垂切除術(transumbilical laparoscopically assisted appendectomy:TULAA)で治療された急性虫垂炎の子供の外科的転帰を従来法と比較する目的で、後方視的研究を実施しました。
その結果、TULAAの方が、手術時間が短く(中央値、40 vs 67 分 ; P <0.001)、入院期間が短く(中央値20 vs 23時間 ; P <0.001)、低コスト(中央値$ 6266対$ 8927; P <0.001)でした。
一方で、TULAAは手術部位感染がわずかに高頻度でした(6% vs 4% ; P = 0.19)[148]。

Sekiokaらは、複雑性急性虫垂炎と非複雑性急性虫垂炎の両方で、平均手術時間がTULLAの方が従来法よりも有意に短かったと報告しています。
さらに、複雑性急性虫垂炎の合併症率は従来法よりTULAAの方が有意に低くなり、術後入院期間は短くなりました。[149]。

まとめ

成人の急性虫垂炎に対する単一切開腹腔鏡下虫垂切除術は基本的に実現可能で安全です。
従来の3ポートでの腹腔鏡下虫垂切除術と同じくらい効果的ですが、手術時間が長く、より多くの鎮痛が必要で、創部感染の発生率が高くなります。
→従来法(3ポート)での腹腔鏡アプローチは手術時間の短縮、術後疼痛の減少、創傷感染の発生率の低下に関連するため、単一切開腹腔鏡下虫垂切除よりも従来の3ポート腹腔鏡下虫垂切除が推奨されます。
[QoE:High;推奨の強さ:強い; 1A]。

小児の急性虫垂炎に対しても、単一の切開/経臍的腹腔鏡補助下虫垂切除術は、3ポートの従来法と同じくらい安全です。
→急性虫垂炎と良好な解剖学的構造を有する小児患者では、スキルと専門知識に基づいて、単一切開/経臍的腹腔鏡下虫垂切除術または従来の3ポート腹腔鏡下虫垂切除術を実施することが推奨されます
[QoE:低;推奨の強さ:弱い。 2C]。

参考文献

143.

Xue C, Lin B, Huang Z, et al. Single-incision laparoscopic appendectomy versus conventional 3-port laparoscopic appendectomy for appendicitis: an updated meta-analysis of randomized controlled trials. Surg Today. 2015;45:1179–86.

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Zhang Z, Wang Y, Liu R, et al. Systematic review and meta-analysis of single-incision versus conventional laparoscopic appendectomy in children. J Pediatric Surg. 2015;50:1600–9.

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148.

Karam PA, Mohan A, Buta MR, et al. Comparison of transumbilical laparoscopically assisted appendectomy to conventional laparoscopic appendectomy in children. Surg Laparosc Endosc Percutan Tech. 2016;26:508–12.

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149.

Sekioka A, Takahashi T, Yamoto M, et al. Outcomes of transumbilical laparoscopic-assisted appendectomy and conventional laparoscopic appendectomy for acute pediatric appendicitis in a single institution. J Laparoendosc Adv Surg Tech. 2018;28:1548–52.

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