遺残虫垂炎(切り株虫垂炎)の診断・手術・留意事項

外科

虫垂切除術の既往があるのに急性虫垂炎になることがあるって知っていますか?

今回は遺残虫垂炎について学んでいきましょう!

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遺残虫垂炎とは

虫垂切除の既往があると、ついつい急性虫垂炎を鑑別診断から除外してしまいます。

しかし、意外と知られていませんが、残った虫垂根部に急性虫垂炎を起こすことがあります。

遺残虫垂炎とは、文字通り、過去の虫垂切除の際の虫垂根部の処理が不十分なことで、残った虫垂に急性虫垂炎を起こすという疾患です。

英語では、stump appendicitisと呼ばれます。日本語でも俗に『切り株アッペ』などと呼ばれています。

遺残虫垂炎を起こさないための虫垂切除術

遺残虫垂炎の発生予防としては、当然のことながら、初回の虫垂切除術の際に、虫垂を根部まで完全に切除することが重要となります。

虫垂根部の遺残を3ミリ以下にすることが重要であるという報告があります。

腹腔鏡下虫垂切除術が一般化したため、虫垂根部を3ミリ以下まで切除することが困難な症例もあるのかもしれません。

手術の際には、結腸ヒモまで虫垂を十分に追跡・確認して、虫垂根部を残さないように万全の注意を払う必要があります。

遺残虫垂炎の症状や特徴

通常の急性虫垂炎と比較して、遺残虫垂炎に特徴的な症状はありません。

虫垂切除の既往から、右下腹部痛の診断において、急性虫垂炎を除外してしまいやすいことが最大の注意点です。

そのため、早期診断が困難となり、診断が遅れるために、穿孔や膿瘍形成などの複雑性急性虫垂炎に進展して診断されることが多いようです。

遺残虫垂炎の診断

術前診断としては、CTが有用という報告が多いです。

遺残虫垂が短い場合、もしくは炎症により盲腸の腫大が高度な場合には、術前の診断がさらに困難になる場合があります。

画像上明らかな遺残虫垂を指摘できなくても、遺残虫垂炎の可能性も念頭におくことが必要であると考えられます。

遺残虫垂炎の手術

治療としては、診断の遅れから炎症が高度になり、手術が必要になることが多いです。

また、手術も通常の虫垂切除で終了できることも多いです。

しかし、遺残虫垂の炎症が高度かつ短小なことが多いので、根部処理が困難なことが多いです。ちょうど憩室炎で、炎症を起こした憩室だけ切除しなさい、と言われるようなもので非常に難しいです。

そのため、回盲部切除などの拡大手術となることも多いと報告されています。

まとめ

遺残虫垂炎という疾患があること自体をまず知っておく必要がある。

特異的な症状はないので、鑑別疾患に挙げられるかどうかが術前診断の要点。

手術による過大な侵襲を避けるために、正確かつ早期の術前診断が望ましい。

手術は遺残虫垂切除にとどまらず回盲部切除などの拡大手術を要することがある。

急性虫垂炎の初回の手術の際に、虫垂根部を十分追跡・確認して、遺残なく切除することが重要。

参考文献

術前診断が困難であった遺残虫垂炎の1 例

 

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