汚染を伴う虫垂炎の創部の閉鎖についてエビデンス【ガイドライン】

外科

創部の汚染を伴う開腹虫垂切除術で、手術部位感染のリスクを減らすためにプロテクターを使用したり、創閉鎖を遅らせることは有効なのでしょうか?

今回はこの辺りの疑問について、エルサレムガイドラインを参考に見ていきたいと思います。

Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines

スポンサーリンク

創部のプロテクター

創縁のプロテクターは、開腹手術における手術部位感染の発生率を大幅に低下させてくれます。

Mihaljevicらによる系統的レビューとメタ分析では、以下のように報告されました。 これは、1972年から2014年の間に公開された3695人の患者の創縁プロテクターを調査する16のランダム化比較試験が対象となっています。

創縁のプロテクターが手術部位感染の発生率を大幅に低下させていました(リスク比 0.65)

同様の効果は、結腸直腸手術を受けた患者のサブグループでも認められました。(リスク比 0.65)。

創縁のプロテクターの2つの一般的なタイプのうち、二重リングデバイスは、単一リングデバイス(リスク比 0.71)よりも大きな保護効果(リスク比 0.29)を示すことも分かっています。[178]。

Ahmedらによるリング型の開創器の使用に関する、939人の患者を対象とした、4つのランダム化比較試験を含むメタ分析でも、手術部位感染の低下のエビデンスが示されました(リスク比 0.44)。

サブグループ解析では、リング型の開創器はより重症の急性虫垂炎で、より手術部位感染削減に効果的でした[179]。

創閉鎖の遅延

複雑性急性虫垂炎で一次創傷閉鎖と遅延一次創傷閉鎖を比較した最近のランダム化比較試験では以下のような結果となりました。

一次創閉鎖を行った患者の表層SSI率は、一次創傷閉鎖を遅延させた群よりも低くなりました(7.3%対10%)ただし、統計的に有意差はありませんでした。

術後疼痛、入院期間、回復時間、生活の質(QOL)も、それぞれ0.3、-0.1、-0.2、0.02のリスク比で、いずれも有意差はありませんでした。

しかしながら、一次創傷閉鎖の費用は、一次創傷閉鎖を遅延させるよりも低く抑えられました[180]。

Andradeらによるランダム化比較試験では、皮膚の閉鎖方法を、独自の吸収性皮内縫合と従来の閉鎖技術(非吸収糸による単結節縫合)とは比較されました。

漿膜腫および膿瘍の発生率が低下し、創離開や表在SSI発生率が同等になるということで、皮内縫合は安全であることが示されました、

さらに、従来の皮膚閉鎖による合併症の相対リスクは、この新しい手法と比較して2.91高くなりました[181]。

まとめ

創縁のリングプロテクターを使用することは、特に汚染創を伴う複雑性急性虫垂炎の開腹虫垂切除術での手術部位感染の減少をもたらします。

→手術部位感染のリスクを減らすために、開腹虫垂切除術では創縁保護のためのリングプロテクターを使用することが推奨されます

[QoE:中程度。推奨の強さ:強い; 1B]。

一次創閉鎖を遅延させることは、汚染創を伴う開腹虫垂切除術で、入院期間や全体的なコストを増加させる一方で、手術部位感染のリスクは低減しませんでした。

合併症(手術部位感染や膿瘍や漿液腫)のリスクが低く、コストが低いため、急性虫垂炎のオープン虫垂切除術では、皮内縫合が望ましいと思われます。

→開腹虫垂切除の創傷には、吸収糸による皮内縫合を用いて、一次創閉鎖を行うことが推奨されます

[QoE:中程度。推奨の強さ:弱い。 2B]。

参考文献

178.

Mihaljevic AL, Müller TC, Kehl V, et al. Wound edge protectors in open abdominal surgery to reduce surgical site infections: a systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2015;10:e0121187.

PubMed PubMed Central Google Scholar

179.

Ahmed K, Connelly TM, Bashar K, et al. Are wound ring protectors effective in reducing surgical site infection post appendectomy? A systematic review and meta-analysis. Ir J Med Sci. 2016;185:35–42.

PubMed CAS Google Scholar

180.

Siribumrungwong B, Chantip A, Noorit P, et al. Comparison of superficial surgical site infection between delayed primary versus primary wound closure in complicated appendicitis: a randomized controlled trial. Ann Surg. 2018;267:631–7.

PubMed Google Scholar

181.

Andrade LAM, Muñoz FYP, Báez MVJ, et al. Appendectomy skin closure technique, randomized controlled trial: changing paradigms (ASC). World J Surg. 2016;40:2603–10.

PubMed Google Scholar

外科
スポンサーリンク
シェアしてみんなにも教えてあげましょう!
Yasuのフォロー・応援をお待ちしています!
目指せ、トップナイフ!〜消化器外科医のブログ〜

コメントで一緒に記事を盛り上げましょう!

タイトルとURLをコピーしました